青桃
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桃side
君の「愛してる」は、みんなが思うより
とてつもなく重いものだと思う。
「愛してる」を好む人でも。
重くないと考えている人でも。
君だから重く感じて、君は
「愛してる」と軽々と口にする。
俺には理解ができない、
俺的七不思議のひとつだ。
君の言う、「愛してる」の意味も
「愛」というもの、全てを。
君の愛だけが、欲しい
そんな俺の欲望によってできたのは
「ねぇ、桃くん」
「一緒に死なない?」
俺と君ふたりが、心中する物語だ。
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第1話 ずっと
青は、自殺志望者だ。
目を離せばすぐ包丁を取りだし
喉を刺そうと構えているし、
名前を呼んで止めなきゃ
青はその手を離すことなどない。
まぁこれは一時的なやばい時の話だけど
自殺を好み、自殺をしたくなる、
いわゆるうつ病にもかかっている。
だけど重くはなくて、軽めのうつ。
睡眠と食欲に支障が出て、
たまに苦しそうになるだけ。(発作的なの)
それぐらいだし彼氏として、
俺もかなりサポートしている。
今では俺が生き甲斐だとか言ってる。
かわいいやつなんだよなぁ
「桃くんすきだよ?」
「ん、俺もすきだよ」
「眠たくないの?」
「うん、寝れない」
「睡眠薬、とってくるよ」
「あ、待って、そう言って前
転んで怪我したから俺が行く」
「…もう二度としないから」
「青のその言葉信用してない、
ほら、そこに居て待ってて」
「……はーぁい」
青はアホの子で、鈍臭い。
すぐ転ぶしよく前転して死んでる。
青は危なっかしいので
歩く時とかは絶対に俺がつく。
今じゃ当たり前。
青専用の薬の引き出しを開けて、
1番右の奥にある睡眠薬をとる。
とって寝室へ帰っていく。
「あ、ありがとう桃くん」
「睡眠薬ほんと役に立つよね
僕的には寝た感覚あんましないけど」
「…まぁ、確かに便利だよな
俺は絶対お断りだけど」
「へー…そーなんだあ….」
「..目開いてないぞ」
「んへへ…じゃあまたあし、た…」
「おやすみ青」
「…..好きだよ」
今言うこの好きの言葉さえも
青の癪に障るのかと気にしてしまう。
絶対そんな事ないのに。
青が必要としないって思う時が
来るんじゃないかと思って眠れない。
勝手に妄想して凹んで、
泣いて寝れないのはいつもの事。
「…..っ青」
「…………..」
青は死んだように睡眠薬で寝て、
健康な寝息を部屋に響かせる。
俺は溢れ出る液をとめようと、
安心して思い込みをするために
青を抱きしめる。
「….どこにもきえないで、
ずっとここにいて」
「…っずっと」
「…………..」
俺は青に、絶対生きてと言わない。
残酷すぎて青が耐えきれなくなる
そんな勝手な妄想をしたから。
苦しくなる青は見たくないし、
慰めることを正直自信はない。
どうやったって、何も、
死ぬという思いには逆らえない。
青の、決意は綺麗だから
何も逆らえないのだ。
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朝
「っ….、?」
「あ…れ、」
気づけば俺は寝てて、
俺はずっと青を抱きしめていた。
もうそろそろ起きる時間。
流石にバレないと思って
すぐに何事も無かったように
手を離し起き上がった。
「桃くん、バレてるよ」
「っ!?!」
びっくりした。心臓飛び出るかと..
「いや〜桃くんってば可愛い
ほんと僕の癒しだよ〜!」
「何事も無かったように
振る舞うところとか」
「今顔真っ赤なのが後ろ姿でも
分かっちゃうところとか…」
「ほんと可愛い。
いい目覚めだよ」
「おはよう桃くん」
「…..おはよ、。」
顔が焼けそうなほど赤い。
だめ、本当に蒸発しそう。
なんで起きてるんだよ…
ランダムとはいえ…うぅ…..
最悪の目覚めだ…
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「…桃くん薬切らした」
「え、嘘」
「睡眠薬は足りてるけど
その他の薬は全然」
「これでさーいご」
「…..1週間後検診なのに」
「しゃーない行くか〜」
「待って、そんな軽いもん
じゃないんだから…」
「荷物持ちの俺の気持ちを考えろ」
「え〜〜」
「だって僕、病人だもん」
「….かわいい俺に任せる?
彼氏としてどうかと…」
「はは、人妻感あるしいいじゃん」
「誰が人妻だよ」
「……….僕は桃くんの事
大好きだから頼りたいなぁ?」
最終兵器と言わんばかりに
出す低い艶のある声。
俺はこの声に弱い。
青は分かってやってる。
なんか腹立つ..けど、
顔を赤くしてしまう俺に、
1番腹が立ってしまう。
「っ〜….!!!」
「あれ、この声だと、
思い出しちゃうの?」
「僕らが、、、」
「あー!言葉にされるの恥ずいから!」
「わかった..!わかったから..
ほら、病院行くぞおら!!」
「ふふ、かわいい〜」
「うるさい、!!」
俺の弱点は未だ、
握られているままだ。
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病院とその帰り道
「はい、薬ですよ」
「あ、ありがとうございます」
「じゃ、また来ますね看護師さん」
「はい、お待ちしています..!
では…、、お大事に」
病院からの大量の薬を持って
割と重い袋をいっぺんに持つ。
俺らが通ってる病院は
薬を受け取る場所も
検診を受ける場所も
同じらしい。
(青が言ってた)
「ねぇ桃くん」
「ん」
「僕、桃くんと死ねない」
「え、なに、急に」
「僕桃くんには生きてて欲しい
道連れにするの嫌だ」
「桃くん可愛くて面倒見いいし
優しいしこれからも生きて欲しい」
「….ねぇ、わがまま、いい?」
「….うん」
「僕ね、夏に死ぬよ」
「僕が死ぬのは夏
夏の浜辺で一人で消えるよ」
夏。
青が1番合う季節だ。
蒸し暑いし窮屈だし、
蝉だってわんわんうるさいけど
空の青さは、どの季節にも
負けたりなんかしない。
その空の青さが青らしくて、
綺麗で、とても好きで。
俺も青もお互い好きな季節だ。
「….でも、青」
「いーの、大好きな桃くんの
目の色をした季節なんだから」
「…だめ俺も行く」
「いや、僕が嫌だ」
「自殺願望じゃない人を
連れてく趣味ないから」
「俺も行くから、全部全部
俺のものかっさらって」
「無理、嫌だ」
「…いかせて、お願い」
「ううん、だめ」
「今、感じてる歯痒さも
全部全部、僕は受け取れないの」
「…お願い、大好きだから」
青は優しく俺を抱きしめる。
すぐに、離れるくせに。
すぐに、前を向くのに
家につくまで俺らは
死にたいけど俺は連れてかない青と
死にたくないけど連れてって欲しい俺。
2人ぶつかり合う意見で
飛び交っていた。
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「っあ、あぁ..ぁぁ..っ
ぼくなんかなにも、なんにも」
「ぼくなんかが」
「ぼくなんががぁっ…、!!」
「…..青?」
全身の血が逆流したかと思った。
病院から帰ってきた所で、
小さな喧嘩もしたその後だった。
俺が風呂洗って帰ってきたら
悶え苦しむ青がいた。
「っいや、だ、いやだ桃くん
桃くん、桃くん..!!!」
「っおい青!!」
おかしい。
こんなの、今までにない
どうして、青がこんなに、、、
困惑しながらも俺は青に抱きつき、
あげるだけの温もりをシェアする。
「..っ青、落ち着け」
「ぅ…うう、っう、ぁ」
「桃くん、いかないで
きえないで、生きて」
「…っ、、!!」
『どこにもきえないで』
俺の思っている事と、
青の思っていることが同じ、?
俺は青の泣き叫ぶ声をバックに
ずっとそのことについて考える。
青も俺も、互いに
消えないで欲しいと、生きてて欲しい
そう思っていることに気づいた。
軽々しい物じゃなかった
小さい喧嘩の時に生きてって
ずっと言われてたけど、
本当は「消える」が怖いの?
跡形もなく、何も無かったように
消えていくのが、怖いの?
「…青」
「俺も、きえないでほしいって
お前にずっと思ってるよ」
「う….、ぁ、え…、?」
「…ほんとは死なないで欲しい
消えてしまうことが怖いから」
「..だけど俺も一緒に行けたら
一緒に行けたら記憶だって忘れるし
青のことなんて一気に忘れる」
「それは青も一緒で、青も、
消えたら俺を忘れていく」
「俺がその時もし生きていたら
ずっと、青のことを思ったままで」
「一方的に愛してしまうんだよ
それが怖いから、死にたい」
「青を思ったままなのが、
辛いから俺も死にたいだけで」
「お前が連れて行くんじゃない」
「……好きだから一緒に逝きたいだけ」
「…..う、そつきだ 、」
「今都合のいい嘘ついても
なんにも起こんないでしょーが」
「…でも、…」
「…….」
青はどうやら俺の愛たる物を
小さく見ているみたいだった。
こいつが思ってる
2000倍は好きなのに。
そういうところは鈍感だけど、
短所ではないんだよなぁ
「..おれのことすき?」
「!……..もちろん、あいしてる..」
「…俺も愛してる」
「愛してる」なんて、重いなぁ
はじめはこんな重い愛情、
持つなんて思わなかったのに。
俺もこいつもびっくりするぐらい
重い愛を持ってるから
多分どっちか死んだら
生き残ってる方に守護霊として
つくぐらいなんだろう
まぁ同時に死ぬし未練はないんだけど
「…桃くんは、どうして、
愛してるって言葉重いと思うの?」
「好きも愛してるも紙一重だよ」
「…へー、考えもしなかったけど
俺はそうとは思わないけどなぁ〜」
「僕は愛してるより大好き派だけどね」
「……俺は大好きの方が
バカップルぽいなと思うけど」
「それは僕も思う、けど
それがいいっていうのもあるっしょ?」
「だから、僕すき」
「..へー」
「興味無さそ、」
「考えたことなくて、
青にしては意外な言葉」
「僕がバカップルに
憧れてるって言いたいの..?」
「被害妄想キツい….もーいい、
俺昼シャンしてくる…..」
「え?!昼シャンって何!?w
しずかちゃんかよwwww」
「お前の涙で服終わってんだわ
着替えも兼ねて行くだけ」
「てか、しずかちゃんって言うな」
「あーね、それはめんご
でも僕のしずかちゃんいじりは
墓場までするからね」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……………..」
「だってしずかちゃんじゃんwww
それとも体清める系でお坊さんとか?w」
「お前1発殴らせろ」
「ひぇ〜こわい〜僕泣いた後なのに
プロポーズ聞いて安心した後なのに〜」
「はぁ….もーいい行ってくる」
「行ってらっしゃ〜い」
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お風呂の中で、湯船に浸かってる最中、
青のギャン泣きについて考えた。
初めは死ぬほどびっくりして、
心配で心配で超焦ったけど
あれよくよく考えたら演技だよな
俺が目乾燥するからって言って
買った目薬転がってたし
しかも半分減ってたし
4分の3はあったのに見たら
4分の1ぐらいだったし
あいつ…..俺の反応とプロポーズ
聞きたかっただけじゃん….
「…………………….っ」
絶対ちょろいと思っていた青は、
案外計画的で俺の弱点を知っていて、
俺は手のひらの上で転がれていた。
俺の想像上逆なはずなのに。
てかプロポーズくらい
目薬使わなくたってやるのにな
いや、嘘、ひよっちゃう
風呂入らなきゃ気引き締まらない…
あれ待って俺ほんとにしずかちゃん?
「……俺はしずかちゃんだ…….」
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˱ˏ́ˡ̩̀ʰ᷆͡͡˓̬ˡ̀͏͜ʰ᷆ᵓ̗̀̕ˎ̀˲←桃くん(仮)
コメント
5件
君一人にリムられてるやん
ノベルってなんで連続で 文字連なってるやつでも 投稿したら空白あくの なんでなの...、、、???