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ワンクッション
「私の所有印を、貴様の身体に刻み込む。どこへ逃げても貴様が誰のものかを、心の奥底にまで教え込んでやる」
「ひっ……」
耳元で囁かれる絶望の言葉に、エーミールは短い悲鳴を上げる。
こんなこと、幼い頃からずっとされてきた。グルッペンが初めてというわけではない。
幼いエーミールを支配したい者、エーミールが生み出す成果と財を欲しがる者。
だが、父親と叔父以外は、大概は期間限定の契約だった。時期が来れば解放された。父親も叔父も、いつか『処分』するという目的があったから、耐えられた。
けれど。
「あぅッ!!あッ!ひッ!や…あッ!!」
背中を続け様に叩く鞭の音。
やっと治りかけていた背中の傷が、再び裂かれるのではないかと思えるほど、容赦のない鞭打ちが続く。
されている事に変わりはない。
だが、グルッペンだけは他の男達と違う。そう断言できる何かがあった。
学校が終われば、同居を解消すれば、という問題ではない。利用できると思った相手を見極めるのが巧く、またこうと決めた相手に対する執着も強い。
エーミール自身もグルッペンの能力に興味があったからこそコンタクトを取ったが、搦め手の天才は逆にエーミールを取り込もうとしていた。
的確にエーミールの弱点を突き、抵抗の術を徐々に奪っていく。
羽を捥がれた蝶は、傷つき、怯えながらも、籠の中で飼われるしかないのか。
「……ふぅ。せっかく退院したばかりだしな。今回はこのくらいにしてやる、が…」
「逃げない…、もう…逃げない…から…」
「考えるのは自由だ。それに、キミがいけると思ったなら、いつでも試すがいい」
耳元に響く、甘く低い声。
やれるものならやってみろという挑発と、いつでも受けて立つという自信。
従順なフリをして隙を窺う今までの手法は、グルッペンには通用しない。むしろグルッペンが望むのは、エーミールの考えに考え抜いた、歴史に刻まれるような撤退戦。
さながら昔の日本で行われた、敵陣に向かっての退却のような、無謀なりにも可能性を秘めた、美しき撤退戦。
とことんまで戦争狂なのだ、この男は。
世が世なら、革命家として名を馳せるであろう男は、それでも今はまだ雌伏の時期であること、学ぶべきを学ぶ時期であることも知っている。非常に賢く、魅力的な、指導者たる男だ。
だからこそ。
「ケツを持ち上げろ、エーミール。しっかりと穴が見えるようにな」
エーミールはグルッペンの言う通りに、尻を浮かせてグルッペンに穴が見えるような体勢を取る。
エーミールは後悔した。
この男と、寝るべきではなかった。
理想論を交わし、未来を語り合う『友』でありたかった。
「…あ、ひぃ!?や、やめ…ッ!!」
エーミールの尻の穴を、滑り気を帯びたグルッペンの指が入り込む。使い捨てのラテックス手袋とローションまであるとは、随分と用意周到なものだと、エーミールの微かな理性が呟いた。
「ほぐさないとつらいと言っていたのは、お前だぞ。大人しくしておけ」
「やっ、あ、あひぃッ!?」
狭く締め付ける肉襞に、長く節くれだった指が、何本も入り込み、中で蠢く。
「あ、あぁ……、ふ、ぅ……ッ」
エーミールの表情が快楽に蕩け、更なる快楽を求めて腰を振るように見え、グルッペンは生唾を飲み込む。
「もう、いいか?エーミール……」
グルッペンの声も上擦ってきている。再び生唾を飲む音が、微かにエーミールの耳に届く。
ここまできたら、逃げられるとは思えない。
だからせめて、もう痛い思いは、したくはない。拘束され、自分でほぐせないなら、浅ましくともせめてあまり痛まないよう、懇願するしかない。
「ま、まだ……、もう、少し…、ほぐし……て…」
「わかった……」
思いの外素直に、グルッペンが承諾する。
後ろの穴を弄られるのは、正直好きではない。けれども、これから来る痛みに耐えるためにも、今はこの気持ち悪さを我慢しなければ。
「……っ、あ、ふ……ンッ」
違和感に身を捩り腰を振る。
浅ましくも更なる刺激を渇望し、ねだっているようにも見えているのだろう。
懇願する卑しい性の奴隷。
グルッペンにそう見られても、仕方がない。
「つらいか?」
「!!」
エーミールの耳に響く、グルッペンの低く切ない声。
「何となくわかってきた。もう少し、我慢してくれ」
「こんな真似して何だが…、一緒に気持ち良くなりたいんだ」
「……やッ」
優しくするな。甘い言葉を囁くな。
声に出せない言葉を、エーミールは大きく頭を左右に振って示す。
押し測ったようなタイミングでの、いたわりの言葉に、危うく堕ちそうになる。
さすがは、人たらしの男だ。
堕ちるであろうタイミングでの囁きに、エーミールの心はかなり揺れた。踏み留まれたのは、単純に経験の差。
そう簡単には堕ちないエーミールに、グルッペンは苦笑を浮かべ、指を抜く。
「……あっ」
「さすがに警戒心が強いな、エーミールは」
ラテックスの手袋が外れる音、ベルトを外す金属音に続き、ズボンを脱ぐ衣擦れの音。
ベッドが軋む音と共に、背後からエーミールの腰を掴み上げる手の感触。
中を蹂躙していた指に代わって宛がわれる、固く熱いグルッペンの肉棒。
「……ひっ、や、やめ……」
熱い肉体の熱が、エーミールにダイレクトに伝わる。
「前回は、ゴムを着けないとどうなるかと脅されたが……。恋人とはナマでヤりたいと思うのは、世の常だよな」
「やっ、や、やめ……、あ、あぁうッ!!」
エーミールの微かな抵抗も虚しく、グルッペンの固い肉棒は、エーミールの中を突き進む。
「……はぁッ。やっぱりゴムなしがいいな。キミを直に感じられて、最高だ」
「クソ…ッ、が……ッ!!」
中に押し込まれた熱く固い感触に、エーミールは思わず悪態をつく。
悪態をつかれるのは承知の上とばかりに、グルッペンは背後からエーミールに抱きつき、赤く腫れている背中にキスを落とす。
「ん……ッ」
傷口にしみる濡れた感覚に、エーミールの身体はビクリと小さく跳ねた。
「ああ……。やっぱりキミは最高だよ、エーミール。キミもそう思ってるんだろう?」
「世迷い事を……ッ!!」
「いいや。キミが今は殺したいほど憎いと思っていても、本心は俺に惹かれているはずだ」
「……違う……」
「違わんよ。お前は今まで、相手に合わせて仮面(ペルソナ)を変えてきた。近しい人間にも、だ。だが、俺にはそんな小手先の技は、通用しないと理解した。違うか?」
「…………」
「俺に対し、腹黒い本性を見せたり、下卑た言葉を使ったりするのは、俺が相手だからこそ、だ。取り繕う必要がないから、本当のエーミールを見せてくれているのだろう?」
「……貴様相手に…媚びても、意味はな……いッ!?」
ハメているだけだったグルッペンの固いモノが、一気にエーミールの中に押し込まれ、エーミールの身体は再び脈打つ。
「だが、利用価値はあった。そして、フランコ教授を始末したかった。だから、あの姿で帰ってくることで、俺を煽った。そうだろう?」
「……ッ!!う、ご…くな…ッ!!はっ!ンぁ…ッ!!」
身体の奥底の勘所をグルッペンの先端が擦るたび、エーミールは甘く切ない悲鳴をあげる。
「お前は本当に賢い男だよ。だが、自分を傷つけすぎだ。そこはいただけないな」
「貴様に…ッ、関係ッ、な、いッ!!」
「……まぁた、そういう事を言うか」
こんな状況になっても、まだグルッペンと距離を取ろうとするエーミールに、グルッペンは呆れつつも腰を動かし何度か強く突き入れた。
「あぁッ!!あっ!ンぐ……ッ!!」
強い刺激に、エーミールは声をあげ身悶える。
「関係ないことはない。わかってくれ、エーミール。愛しているんだ」
「やめろッ!!」
エーミールは悲痛な声で叫ぶと、腰を引いてグルッペンのモノを抜こうとしたり、手錠で繋がれているにも関わらず両腕を激しく動かして必死に踠いていた。
「エーミールッ!!」
「やめろッ、やめろッ!!いやだ!」
『愛している』という言葉を、頑なに拒み続けるエーミールに、グルッペンはエーミールの中にある根深い闇を感じた。
グルッペンはエーミールと繋がったまま、エーミールの足を持ち上げ身体をひっくり返して顔を覗き込む。
射殺すようにグルッペンを睨むエーミールの目が、涙で滲んでいる。
「殺してやるッ!!殺してやるぞッ、グルッペン・フューラー!!」
エーミールの怒りと怯えが、グルッペンの全身と心にビリビリと響く。エーミールの本気が、グルッペンを魂から震わせていく。
「いいだろうッ!!殺してみろ、エーミールッ!!貴様の全力で、かかってくるがいいッ!!」
グルッペンは容赦なく激しく、エーミールの中を突き上げた。
「やッ!あッ!やだ……ッ!!ひッ、あぐ…ッ、ンあぁ……ッーーー!!」
グルッペンはエーミールの唇を貪り、食らいつくようにキスをする。エーミールは身を捩り必死に抵抗を試みるが、グルッペンは構うことなくエーミールの中に叩きつける。
「ン”ッ!!ンふッ!ふン…ッ、ン”、んーーーッ!!」
エーミールの体が緊張で強張り、グルッペンのモノを絞り出すように強く締め上げる。
「うぉ…ッ!……ッ、エーミール…、エーミー…ル!!」
限界を感じたグルッペンは、エーミールの尻にありったけを叩きつけた。
「んッ、ぅンッ!ンんーーーーッ!!」
「うっ、あ、エー…ミー…ルッ!!」
ビクビクと震えるエーミールの中に、グルッペンは思い切りぶちまけた。
【続く】
コメント
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ありがとうございますお陰で何かに目覚めました(真顔)