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ドラ姫様が往く!!

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第95話 5人で食事会、そして明かされる2人の過去

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2024年03月30日

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読書を続けて6時間ほど経過したところだろうか。そろそろ正午の鐘が鳴る時間の筈だ。

そろそろ読書を中断して噴水広場へと向かうとしよう。


1階へ降りれば既にシンシアとジェシカがいつもよりも綺麗な服を着て私を待っていた。特に、シンシアの服装は珍しくスカートを履いている。

それは良いのだが、1階に降りた途端、2人だけでは無く1階にいた全員の視線が私に集まってしまった。

フウカが視線を集めすぎると言っていたが、これほどとはな。これは、折角仕立ててもらいはしたが、普段着としては使えなさそうだ。


「ふぉおおお!!ノア姉チャン!すっごいキレーッ!!」

「これを仕立てたのって、フウカさんよね…?凄すぎるわ…」

「2人もとても似合っているよ。シンシアは可愛らしいし、ジェシカもいつも以上に綺麗だ」

「えへへへぇ、褒められたぁ~」

「ノアさん、言いたいことは分かるし嬉しいけど、その言い方は口説いているようにしか聞こえないわよ?」


2人の服装を褒めると、シンシアは嬉しそうに照れているのだが、ジェシカからは呆れた声色で苦言されてしまった。

事実を言ったまでなのだが、受け取る側からしたら求愛に近い意味合いとして捉えられるようだ。当然、私にその気は無いので、以後気を付けることにしよう。


しかし、宿にいる間にも注目が凄いことになっているな。この状態で外に出れば、更に注目が集まることは想像に難くないだろう。

だが、それに臆して着替えることなどはしない。注目が集まるのは初めから分かっていたことだからな。このまま外に出てエリィ達と合流して店に向かうとしよう。



シンシアとジェシカと共に外に出てみれば案の定一斉に私達に視線が集まる。シンシアはその視線に驚いて少し委縮してしまったようだが、ジェシカはそれほど気にした様子は無い。


「ううぅぅ…すっごい見られてるぅ…」

「それだけシンシアが可愛いということさ。ジェシカは視線を集めても気にならないみたいだね」

「そりゃそうよ。今日ほどじゃないけど、視線を集めるなんて毎日のことですもの。こんなのは慣れっこよ」


言われてみれば、ジェシカは早朝から華やかな仕事着で外へ出て店まで向かっているのだったな。だとしたらその時点で周囲からの注目を浴びるのか。

彼女がどれだけの間そんな日々を送っていたのかは分からないが、少なくとも注目を浴びることに慣れるぐらいには長く続けているのだろう。


噴水の方に視線を向ければ既にエリィとエレノアが待機していた。待たせてしまっただろうか?

2人の衣装は普段よりもずっと華やかだ。

昨晩エレノアが[しっかりとおめかしして行く]と言っていた通り、私の目にはとても綺麗に映っている。今は私達に注目が集まっているが、先程まで周囲の視線を集めていたのはきっとこの2人だった筈だ。


さて、2人と合流するとしようか。


「2人ともこんにちは。とても綺麗だよ」

「ノアさん、こんにちは。今日はごちそうになりますね。それにしても、本当に凄い服ね…。着ている人が美人だから一層綺麗に見えるわ…」


2人に挨拶をすれば、エレノアが早速服の感想を伝えてくれる。ただ、エリィは私の姿を見て目を見開いて硬直してしまっている。どうしたのだろうか?


「エリィ?」

「っ!?は、ハイッ!お、おはよ、じゃなくてっ、こんっ、こんに、こんばんっ、じゃないっ!こここんにちはっ!ききき今日は、よよ、よろしく、おお、おねががが」

「緊張しているの?大丈夫だよ。落ち着いて、普段の貴女のようにしてくれれば、それでいいんだ」

「ほぁあっ!?!?あっふぅ…。ノ、ノアさんは私をおかしくさせちゃいますぅ~…」


エリィを落ち着かせるために優しく抱きしめて頭を撫でておく。

そういえばエリィの頭を撫でる機会は何度かあったが、抱きしめるのは初めてだな?まぁ、落ち着いてくれたようだし良しとするか。顔は真っ赤になっているが。


「ノアさぁ~ん?それ多分逆効果よ?大人しくなってるだけで相当興奮してるんじゃないかしら?エレ姉さん、こうして合うのは久しぶりね」

「そうねぇ、こうして一緒になってお話ができるのは2年ぶりぐらいかしらね。ふふっ、あのジェシカが今じゃ高級レストランの人気ウェイトレスだなんて、ちょっと信じられないわね」

「もうっ、そうやってからかうのは相変わらずなんだから。人は成長する生き物なのよ。いつまでも昔のままじゃないわ」

「ノア姉チャン、女の人同士でも人前で抱きつくのはどうかと思うぞ?それはそうと、エレ姉!こんにちは!今日はいっぱいお喋りしような!」

「はいこんにちは。相変わらずシンシアちゃんは元気いっぱいね。久々に会えてお姉さん嬉しいわぁ~」

「えへへへぇ、エレ姉に頭撫でられるの、久しぶりだぁ~」


エレノアに対してシンシアとジェシカが挨拶をしている。2人ともとても嬉しそうだ。特にエレノアに頭を撫でられたシンシアの喜びようは、見ているこちらもつい笑みがこぼれるぐらいには微笑ましい光景だ。

それと比べるとジェシカは随分と落ち着いているな。自分の過去を良く知っているエレノアに対しても余裕のある受け答えをしている。


それはそうと、ジェシカが私のエリィに対する行動に言及をしてきた。興奮したエリィを落ち着かせるための行為なのだが、彼女から言わせると逆効果らしい。


うぅむ?確かに顔は真っ赤にしているが、逆効果なのか?

少しエリィに意識を向けてみると、明らかに鼓動が早くなっている。その早さは私が最初に話しかけた、あの女性に免疫が無いと言われた門番の時以上の速さだ。


これは拙い!今のところ笑い話みたいな扱いになっているが、この状態が続いた場合健康を著しく損ないかねない。

慌ててエリィを腕から解放して魔法を使用する。

『正常』の意思を込めた魔力をエリィに流して興奮状態を抑制させることにした。こういった相手の感情を強制的に操作する手段は好きでは無いし褒められる行為では無いと思うのだが、エリィの健康面を考えれば四の五の言ってはいられないのだ。

魔法の効果が表れたのか、エリィの様子が大分落ち着いてきた。


「はふぅ…。不思議と落ち着いてきましたぁ…。ノアさん?間違っても今みたいなこと、気軽にやっちゃダメですからね?性別関係なくヤバいですからね?気を失いかけましたよ!?」

「あぁ、うん、済まなかったね。こういう方面で自分が周囲に与える影響というものをいまいち把握できていなくてね。気を付けはするけれど、多分また何度かやらかしそうな気がしてならないよ」

「自分の実力に関しては結構自覚して来てくれたみたいだけど、容姿に関してはノアさんってかなり無自覚よね?鏡で自分の姿を見たことぐらいあるでしょ?」

「それなんだけどね。人の美醜の判断は大体できるようになったのだけど、自分の容姿とその判断をなかなか合致させられなくてね。森には鏡なんてなかったし、不思議と魔術で作り出す気も無かったからねぇ…」


ジェシカに言及されて家で生活していたころのことを思い出す。

『我地也《ガジヤ》』を習得した時点で鏡を作ることは可能だったのだが、私は自分の容姿に関してはとことん興味が無かったようで、鏡を生み出すという発想がまるで出てこなかったのだ。

自分の体は感覚で認識できるし、顔の造形も初めて川に訪れた際にある程度は確認してそれで満足してしまっていたのだ。

そのため初めて街に訪れた時まで自分の外見の美醜をまるで意識していなかったのである。


その結果、こうして何か行動するたびに注目を集めて訝し気に思ったり、むず痒くなったりしてしまっているのが現在の状況というわけだ。

自分の能力の検証は十分に行ってきたが、自分の外見を詳しく知ろうとしなかった結果である。今後はちゃんと意識していくとしよう。


私が思いにふけっている間に、シンシアとジェシカがエリィとの挨拶を終えていたようだ。3人共表情が柔らかく、こうして集まれたことを喜んでいるようだ。

食事会を提案した甲斐があるというものだ。嬉しそうに笑っている彼女達の顔を見ていると、こちらとしても優しい気分になってくる。


さて、私達の目的はここでおしゃべりをすることでは無く皆で美味しい料理を食べることだ。そろそろ移動するとしよう。



目的の店の前までジェシカに案内されて到着したのだが、移動の最中の視線が本当に私達だけに向けられている状態だった。

何せ客観的に見て美女と美少女の5人組が楽し気に街を歩いているのだ。それも普段着では無く綺麗で華やかな衣装を身に纏っている状態だ。目立つなんてものじゃないだろう。

あまりに視線が集まるせいでシンシアが委縮してしまっていたため、途中からは私がシンシアを尻尾で抱え上げる状態で移動することとなった。

少女らしい格好と相まって委縮してしおらしくしているシンシアは、宿で仕事をしている時以上に可愛らしく思えた。


「ノアさん、ここが普段私が働いているお店よ。今日のことは店の同僚や店長にも伝えて予約してあるわ。ゆっくりと食事とおしゃべりを楽しみましょう」


紹介された店は宿を兼ねているわけでは無く、純粋な飲食店の筈なのだが、それにしては大きな敷地を持っている。

高さ自体は2階建ての住居と同じぐらいではあるのだが、広さは一般的な居住の倍近くはある。高級店とのことらしいが、内装が気になるな。


「いらっしゃいませ。ノア様の御一行でよろしいでしょうか?」

「ええ、そうよ。早速案内してくれる?」

「かしこまりました。此方へどうぞ」


店に入ると、まず最初にジェシカの仕事着と同じ服装をしたジェシカと同年代の女性が出迎えてくれた。

おそらくはジェシカの同僚だろう。間柄は親しいようだが、客と店員の立場をしっかりと線引きしているのようだ。

見知った顔である筈のジェシカに対しても丁寧な態度を崩していない。それだけでもこの店の店員の質の良さが分かるというものだな。


驚いたことにこの店は全ての席が個室だった。

何でも、ジェシカが言うには個室にすることで客にプライベートな空間を提供し、周囲の目を気にすることなく食事を頼めるだけでなく、他人に聞かれたくない話をすることもできるという。


なるほど。広い敷地はそういった理由だったか。

となると、値段が高い理由は料理の値段だけでなく、場所の値段も含まれているな。おいそれと一般の住民が通えないわけだ。


案内された個室に入り、皆が思い思いに寛ぎだす。

シンシアも周囲の視線が無くなりようやくいつもの調子に戻ってきたようだ。尻尾から降ろしてあげよう。

料理の予約もジェシカが済ませてくれたようで、少ししたら運ばれてくるらしい。それまでは4人とゆっくりと談笑していよう。


「ふぁ~、やっと落ち着けるぅ~。みんなの目がちょっと怖かったぜ~」

「相変わらずシンシアちゃんは恥ずかしがり屋さんねぇ。早いところ慣れておかないと、大きくなった時に大変よ?」

「ホントにね。アンタはやたら可愛いんだから、ちょっと大きくなったら注目されるのは今の比じゃないんだからね?」

「うぅ~…ノア姉チャ~ン…」

「ごめんね?私からは慣れるしか無いと言う他ないよ。そもそも私は周囲からの視線を浴びてもむず痒いとは思うけど、恥ずかしいと思ったことは無いからね。最近、そのむず痒さもあまり気にならなくなってきたし…」


ジェシカとエレノアに将来のことを指摘されて困ったシンシアが私に助言を求めてきたのだが、生憎とこの娘が満足できる答えを私は持ち合わせていない。

そもそも、私はシンシアが持つような悩みを最初から持っていないからな。冷たいようだが、シンシアの気持ちを分かってやれないし悩みを解決してやることもできない。


ところで、シンシアは将来どうしたいのだろうか?今は宿の手伝いをしているが、将来的にはこの娘もジェシカと共に姉妹で宿を経営していくのだろうか?


「シンシアは大きくなったら何になりたいのかな?」

「冒険者っ!ノア姉チャンみたく強くなって皆のために美味しい物や綺麗な物をいっぱい取って来るんだ!」

「姉の私としては諦めて欲しいんだけどね…。冒険者なんてちょっとの油断で命を落としかねないもの。でもこの娘、冒険者としての才能がヤバいのよねぇ…」

「この年齢であの足の速さ、しかも大人ですら舌を巻くほどの器用さ。せっかちなところを直せば斥候として引く手あまたでしょうねぇ…」

「冒険者ギルドの職員としてはシンシアちゃんが冒険者を目指してくれるのは嬉しいのですが…。お姉さんとしては、ですよねぇ…。それはそれとして良いですか、シンシアちゃん。ノアさんのようになっちゃダメですからね」


おっと?話を振っておいてなんだが、私が非難される流れになってきていないか?

いやまぁ、エリィの立場になって考えると心当たりがありすぎるが。

シンシアは不思議そうにしているな。昨日シンシア達に冒険者の活動を話はしたが、それはあくまで私目線での話だったからなぁ…。


「どうしてぇー?ノア姉チャンの話聞いたけど、カッコ良かったよ?」

「ええ、ええ、とっっってもカッコ良いですよ?で・す・が!毎日毎日、異常な速さで依頼を片付けるわ、大量の書物をあっという間に読破するわ、ごく一部の”一等星《トップスター》”にしかできないことを平然と行うわ、冒険者の方々をギルド周辺ごと一瞬で綺麗にするわ、あっという間に本を複製するわ、魔物の大群を1人で一掃するわ、いつの間にかギルドの入り口にヘンな仕掛けを施すわで、こちらが知り得ないことを平然とやらかしてくれるので、私たちギルド職員は対応に追われて大忙しです!残業は増えるし気苦労も増えるしで大変なんですからっ!もしもシンシアちゃんが冒険者になるなら、頑張り過ぎず、程々の活動をすれば良いですからね?分かりました?」

「う、うん…分かった…。エリィ姉、大変そうだね…」


おぉぅ…エリィの不満が爆発している…。

普段の落ち着いていながらも愛嬌のあるエリィが勢いよく早口で不満、と言うか私がこれまでエリィを驚かせた内容を述べている。相当に鬱憤を溜め込んでいたようだ。シンシアがエリィの勢いに引いている。


「そうは言うけど、半分はエリィの自業自得よ?聞かなければ良いことを自分で聞いたせいで重荷を背負うハメになったり、できると思ったからって大量の依頼を1度に受注させてしまうしで、貴女は少し首を突っ込みすぎるのよ」

「そ、そうは言うけど姉さん、一ギルド職員としては確認は必要なことで…」

「本人から直接聞くからそんなことになるのよ。疑問に思ったのなら、ギルドマスターとまでいかずとも先輩や上司に投げちゃえばいいの。貴女はまだ重責を負わなくてもいい立場なんだから、真っ向から受け止めるだけじゃなくて受け流すことも覚えなさい」


流石は姉だな。エリィの欠点と言うか癖を的確に指摘して改善するように諭している。人生経験の差というやつだろうか?

ああ、料理が運ばれてきたようだな。にこやかな表情をしたウェイトレスが入室してきて私達に料理を配っている。

料理の形式はどちらかと言えばダンダードが紹介してくれた店の物に近いか。綺麗に盛り付けられた料理が私達の前に置かれていく。

ただし、こちらは徐々に料理を持ってくる形式では無く、1度に複数の料理を持ってくるようだ。好きな物を好きなように食べて構わない、ということだな。個室のために周囲に気を遣う必要が無いからこそできる方式だろう。


「変わらないわねぇ、エリィは。昔から興味のあることを見つけると周りの制止も聞かずに突っ込んで行っちゃうんだから」

「ちょっ、ジェシーっ!?それを言ったら貴女も一緒でしょっ!?」

「そうね。良い思い出話よ。今ではそんな風に突っ込んでいくことなんてないもの。エレ姉さんにも言ったけど、私はちゃあんと変われたの」


おお。得意げにジェシカが自分の成長を語っているな。だが、彼女は気付いているだろうか?彼女の同僚が、とても楽しそうな表情をしてその得意げな表情を見ていることに。


「そうねぇ、ジェシカは口よりも手や足が先に出るものねぇー。この前だってお尻を触ろうとしたお客様のツルッツルな頭を思いっきり叩いてとってもいい音を響かせていたものねぇ~」

「ちょっと!?何でウェイトレスのアンタが会話に混じって来てんのよ!?今日のアタシは客人でしょうが!?」

「だってここは個室でプライベートな空間ですもの。それなら客も店員も関係ないでしょ?ふふふぅ~、皆さん、まだまだジェシカのやらかしや武勇伝はいっぱいありますよぉ~?」

「なぁんだ。ジェシーだって昔と変わってないじゃないですか。貴女、昔っから気に食わない相手には口よりも先に手と足が出てましたものね。高名な武闘家が弟子にしたいって言ってたの、今でも覚えてますよ」

「えっ!?それ初耳なんですけど!?エリィさん、その話詳しく!」

「アンタはいい加減仕事に戻りなさいよっ!」


我が意を得たとばかりにエリィが反撃に出た。ジェシカの意外な過去を暴露してジェシカの同僚を驚かせている。

この2人、大人になって余裕を見せてはいるが根本的なところはヤンチャで腕白なままのようだ。

2人の会話はまだまだ続きそうだな。シンシアが反応に困っている。


「シンシア、ジェシカとエリィは思い出話に夢中になっているようだし、私達は先に食事を頂こうか。どれから食べても良いようだよ?」

「そうね。あの子達の話、長引きそうだし頂いちゃいましょう。あんまり長引きそうなら私が止めるわ」

「えっ?あっ、うん!いただきますっ!」


一昨日は会話に夢中になって料理の味をしっかりと味わえなかったからな。今回は存分に堪能させてもらうとしよう。


…うん。実に素晴らしいじゃないか。最初に口にしたシチューの味は昨日子供達と食べたホワイトソースをベースに、その味を昨日の料理とは比較ができないほどに繊細な物へと昇華させたような味わいだ。

食感もまた素晴らしい。シチューの肉を口に運んでみれば、口に入れた途端にほろほろと溶けだしてそこから旨味が溢れ出る。これは他の料理も期待が出来るぞ!

シンシアも料理を楽しんでいるようだ。口に入れた途端に目を輝かせている。


「うっまぁーいっ!トロトロでうまうまだ―っ!」

「ああ、良いわねぇこの食感。流石の高級店ねぇ…」

「「ちょっと!?こういうのって皆で一斉に食べるものじゃないの!?」」

「いやぁ、2人の思い出話が盛り上がっているようだからね。話の内容も興味はあるのだけど、話を聞き続けていたら料理が冷めてしまいそうでね。私はともかく、冷めた料理をシンシアに食べさせるのは可哀想だろう?」

「「うぐぅっ!」」


2人を放置したまま食事を楽しんだことは確かに申し訳なかったが、シンシアに冷めた料理を食べさせるよりはマシだろう。そのことを伝えると、思った以上に衝撃を受けたようだ。

2人ともシンシアのことを可愛がっているようだし、自分達がシンシアを可哀想な目に遭わせるのはさぞショックな筈だ。


「そういうことよ。時間はまだあるのだから、出された料理を楽しみましょう。おしゃべりはそれからでも十分できる筈よ」

「「はぁ~い」」


2人とも大人しく食事を楽しむことにしたようだ。エレノアが言ったように時間はまだたくさんある。極上な料理を存分に味わいながらお互いのことを話し合おう。




入店してから3時間。私達は食事を終えて帰路についている。シンシアは喋り疲れてしまったのか、眠ってしまっているため、私が抱きかかえさせてもらっている。

出された料理はどれも筆舌しがたいほどの美味であり、皆一様にその味に表情をほころばせていた。

存分に料理を堪能し、エリィ達の思い出話やシンシアの将来。エレノアの意外な一面、私の今後の予定など、色々なことを話し合った。


帰路につきながら思いにふける。

この街でやるべきことはもう殆ど残っていない。私の目的を優先させるのならば明日にでも王都に向かっても問題無いのだ。

しかし、それではあまりにも味気ない。シンシアを始めとして子供達からああも慕われているのだ。

私は契約した1週間はこの街に滞在することにした。


別れを惜しまれてしまうかもしれないが、存分にあの子達とこの街で過ごしてから王都に向かうとしよう。

ドラ姫様が往く!!

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