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テラーノベル(Teller Novel)
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暫く歩くと建物が見えてきた。

おそらく此処が探偵社所有の寮なのだろう。

その中の二階、人虎の部屋に入れられると、

「芥川、お前に話したいことがある。でもその前に風呂に入ってこい。」

と云った。

僕は当たり前に

「断る。」

と間髪入れずに云った。

だが、人虎が纏っていた空は僕に他の選択肢を与えていなかった。

僕は大人しく

「…承知。」

と告げた。

「風呂は此処を真っ直ぐ行って突当を右だ。着替は置いておくから。」

そう云われ僕は無言で風呂に向かった。

「客間で待ってるから。」

と後ろから人虎の声がするのが聞こえた。

そして入った風呂は暖かかった。


今日も空気は重い。

まるで僕の気持ちを隠してくれているかのように。

僕も太宰さんには居てもらいたい。

でも死んでしまった人は二度と帰ってこない。

どんなに悲しみ、強請り、縋ったって。

それがわかっているから、現状何もできなかった。

「出た。」

がらがらと音がして、芥川が入ってきた。

「じゃあ、此処に座ってくれ。」

云った場所に芥川が座った。そして僕は淡々と話を始めた。


「単刀直入に聞くけど…お前が泣いていた原因って太宰さんか?」

「然り、僕は太宰さんを…」

僕が淹れておいた茶を啜りながらそう云った。

この気持ちは隠し通さなきゃ…

「だよね…」

なんとなく巫山戯ているように聞こえたのだろう。

此れを聞いて芥川は

「何故…何故貴様はッ..太宰さんが死んだのにそんな飄々と過ごせるのだ!?」

云われちゃった…まぁそれもそうだよね。

此れは僕が悪かったんだから。

僕は芥川と本心で語り合わないといけないようだ。

「僕だって太宰さんが死んで悲しい。きっとお前と同じくらいには。でもさ、太宰さんは以前僕に云ったんだ。

『人はいつかは死ぬ運命。それを変えることはできない。だから人は今を必死に生きるのさ。必然的な死に一々悲しんでいる暇はないよ。』

って。」

「…」

「芥川、お前も僕に協力してくれないか?僕は…」


太宰さんを生き返らす」

「消え去りし貴方を求めて」改 小説版

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