あの日から3日。俺はあの丘に行けていない。昨日も一昨日も、紗羽は来ていて、俺のことを待っていたかもしれない。
あの時、紗羽は傷ついてしまっていたかもしれない。今日こそは、逃げない。そう心に決めて、家を出た。
いつもの丘に着くと、もう紗羽が先に座っていた。少し俯いているようにも見える。
緊張してしまい、話しかけるのに時間がかかった。
紗羽と1mほど離れて何も出来ずにいると、紗羽が急に後ろを振り返った。
「あ……」
「蓮菟、くん!!」
俺を見つけて嬉しそうにする紗羽を見て、思わず俺まで笑顔になってしまう。
…でもまずは、
「っごめん!!!!」
紗羽はきょとんとしている。
「俺…3日間ここに来なかったじゃん?俺、逃げたんだ…怖くなって…」
「うん。いいんだよ、別に」
「え……?」
予想外の言葉に固まる。何が、”いい”んだ?
「私の家族の話でしょ?」
紗羽がぎこちない作り笑いをしているのを見て、何故だか申し訳なくなってしまう。
……でも今日は逃げないって決めたんだ。紗羽の話を、最後まで聞いて受け止めるって。
「あ、うん…そうなんだけど」
「ちょっと、話してもいいかな、?」
「うん、分かった」
コメント
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やっとさわちゃんの過去が知れる!!