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その巻が完成した場合は、題名の横に「改」をつけます。
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今、俺、リードはあのダンジョンのある広場の入り口に立っている。
このリトル・ヘブンは周囲を砂漠地帯で囲まれていて、その外れにダンジョンの入り口が並ぶ崖の前の広場がある。
7つのダンジョンのうち、6つのダンジョンは板で厳重に塞がれているが、
一番左にある難易度が一番低いダンジョン〈サルガド〉だけが、開放されている。
サルガドへと続くワープゲートが、周りのものを引きずり込むように口を開けている。
心を決め、剣の柄を握りしめながらサルガドのワープゲートへと足を踏み出した。
なんで俺がダンジョンに来ているのかは、一時間前にさかのぼる。
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この時も俺は、祖父であり師匠のルブロックを相手に、模擬戦をしていた。
そして、結局負けてしまったけれど、今までで一番長い時間師匠の猛攻に耐えれた。
そして、模擬戦が終わり、中庭に寝転んで休んでいると、とうとう師匠が、待ち望んでいた言葉を言ってくれた。
「リード、もうこれだけ剣術の腕が身についたのなら、ダンジョンに行ってもいいだろう」
そしてその言葉を聞くが早いか、自室においてあったアイアン(鉄)製の防具を身につけ、
「いってきま~す」と言って、ダンジョンへ駆け出していった。
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そんなこんなで、サルガドの内部に到着。
そして、ダンジョンの一階層最初の部屋に向かう長い一本廊下を歩いて…あれ?前回来たときとダンジョンの構造が違う?
まあ、細かいことを気にして進めるような建造物じゃない。何が起きてもおかしくない、ダンジョンだ。
というわけで気にせず、何事もなく最初の部屋に到着。と、次の瞬間…
ぶわぁっ、と白煙が5つ立ち上り、木の棍棒を持ったゴブリンが5匹現れた。
ゴブリンは相変わらず不潔なイメージを思わせるボロ布をまとっている。肌の色は緑色で、鼻や耳が尖っていて禿げ頭で目つきが悪い、漫画で見るようなゴブリンだ。
後日父さんからもらったモンスター図鑑によると、
ゴブリン戦士のほかに魔法使いやがっちりした中ボスなどの派生がいる。
そして、亜人扱いで人族と友好的な場合もある。
と、書いてあった。
早速、ゴブリンたちは棍棒を振り上げ、こちらへ向かってきた。
…戦闘開始だ。
剣の柄を握り直し、先頭で走ってくるゴブリンを切りつけた。
まず一体を倒した。
その間にゴブリンがすぐそこまで近づいてきた。
急いで後ろに下がり、間合いを図りながら、スキル〈斬撃〉を発動させた。
斬撃の効果で緑色のオーラを纏った剣をゴブリンの軍団に向かって右から左へ振り抜いた。
その次の瞬間…。
刃の残像が実体化し、4体のゴブリンたちを襲った。
数秒後…。
ゴブリンたちは無惨な肉片になっていた。
自分の剣術がある程度サルガドに通用するということが分かり、ひとまず安心した。
そしてあたりを見渡すと…。
薄暗くてわかりにくいが、黒光りした小さい石のようなものが転がっていた。
もう少し探してみると…周りに5つ、黒光りした小さい石のようなものがあった。
何かわからないが、害はなさそうだから、
帰ったら師匠に見せるため、持ってきた肩掛けカバンに入れておいた。
そして、次の部屋に向かうために通路を探すと…通路が2つに枝分かれしていた。
ひとまず右に行こう、と思い、右の通路を進むと…。
野営地があった。ただ、野営地と行っても、もう使われている形跡はなく、
ボロボロのテントと書物などが当たりに散乱し、近くの切り株には骸骨があった。
そしてその骸骨の近くには、薄汚い羊皮紙がおいてあった。
その羊皮紙を覗き込むと、こう記してあった。
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俺はもう駄目だ。
偶然ダンジョンの〈主〉のいる部屋を発見したはいいが、
時折その部屋に現れる、
攻撃の効かない青色のモンスターに興味を持ってしまった。
そのモンスターを観察するために
近くに野営地を張ったが、
観察に夢中になりすぎて、
後ろから近づいてきたモンスターに気が付かなかった。
そして、俺の記憶のほとんどはなくなってしまった。
帰り道もわからない。
覚えているのは、この羊皮紙に書いてあることだけだ。
食べ物もこの間尽きた。
もし、この手紙を読む人がいたら、
このモンスターに気をつけてほしい。
そして、テントの中にある
2つのペンダントを持って行ってくれ。
説明は、近くの羊皮紙に書いてある。
そして、最後の願いだ。
ダンジョンの主が持つ〈コア〉をペンダントに取り込ませると、
人を一人だけ生き返らせることができる。
もし、君が主を倒せたとしたら、
俺を生き返らせてほしい。
頼んだ。
アビリティ・ライズ
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最後の名前を見て、俺は衝撃を受けた。
俺のフルネームは、アビリティ・リードだからだ。
ただ、同姓なだけ?
気になって、しょうがなかった。
この羊皮紙などを師匠に見せないと。
テントの中にあると書いてあった、2つのペンダントと
手紙が書かれた羊皮紙、そしてペンダントの説明が記された羊皮紙を握りしめ、
急いでダンジョンを出て、屋敷を目指して走った。