コメント
3件
お〜がくんまじ好き!!愛してる!!!
.
「 俺は、世一が嫌いだ ─────── 」
嗚呼、最悪だ。
やっぱり俺の思っていた事は当たっていたんだ。
「 ─── った。 」
「 …ぇ、 」
” 嫌いだった “ 、?
” 嫌いだ “ じゃなくて、?
「 変な勘違いするし、クソ可愛いし…… 」
「 …でも世一、今はお前がクソ大好きだ。 」
「 嫌いの間違いじゃなくて、? ( 🙌🏻 」
「 嗚呼、嫌いなら来ねぇよ 」
「 ッ、か、いぁ、ッ 」
「 …いい子いい子、 ( 撫 」
只俺の頭を撫でる音と、俺の嗚咽混じりの鳴き声と。
カイザーが鼻を啜るその音だけが、この部屋に響いた ─────── 。
「 かぃ、ぁ、? 」
起きるともう既に 9 時前 。
結局夜の事は夢なのか現実なのかは分からなかった。朝起きたらカイザーは居らず、イヤホンは元通り棚上に置かれて、俺はベッドの上で悠々と寝ていたのだから。
「 ふは、 」
それでも、あの手紙と花だけは、ちゃんと机の上に置かれていた。
「 きんぁん、のぉあめ… 」
形のない歌で朝を描く。
早く話せる様に、と、俺独自の練習法だ。
花を飾ろうと花瓶を探すがそんな物ある訳ないから、プラスチックのコップに水を入れる。
濁音さえ出ないが、分かる人には分かる程度話せる様になってきた。だがまだ普通の人には伝わらない。
イヤホンを付けたその時 ───── …
こんこんこんこん、どんどんどんどんッッッ
「 ぉあッ 」
「 潔潔潔ッ開けろッ 」
かちゃ、と開くと血相を変えた黒名の姿が。
「 黒名さーんッ!?出て来なさいッッ!! 」
と、大きい声で怒る帝襟さんの声。
凄く焦っている様子だったから取り敢えず中へ入れる。
「 ふー、さんきゅさんきゅ、 」
「 …なにしてんの? ( 🙌🏻 」
「 蜂楽達と潔に会いに来たんだぞ、 」
「 ……蜂楽と雪宮と國神は捕まったけど 」
「 なにしてんの ( 🙌🏻 ふは、 」
と、俺に見惚れる黒名。
「 …なんか付いてるか、? ( 🙌🏻 」
「 いや、笑ってんの久しぶりに見た、 」
「 ぁ、ぉ”め、ッ 」
反射的に声が出てしまう。
「 潔…ごめん 」
と、黒名は重そうな声色で口を開く。
「 俺もごめん、 ( 🙌🏻 」
「 俺…潔の事何も考えないで…、 」
と、段々俯く黒名。
それを見て俺もつられて俯いてしまう。
「 ぁの、ッ 」
俯いたままじゃ手話を使えないから、声を掛ける。
は、と目を見開く黒名が目の前に居る。
「 ごめん、まだ言葉拙くて、 ( 🙌🏻 」
「 いや、それより …俺と話してくれるのか、? 」
「 …俺も上見ないとだから、 ( 🙌🏻 」
と、それっぽい事を言うが、只の絵心さんの受け取りだ。
“ 止まってばかりじゃエゴイストにはなれない。お前は夢を諦めたのか?何百人もの仲間を捨てて上り詰めたこの先、お前は何を描く? …上を見れるのは夢を持った人間だけだ。俺も例外じゃないぞ。大体でもいいから夢を抱け。 ”
“ お前なら出来る、そうだろ? ”
…と。もう前を向けなくなっていた俺にとって、
” この先何を描くか “ 、なんて眼中になかった。それを、絵心さんが気付かせてくれた。
黒名の話によると、蜂楽と雪宮と國神、そしてカイザーと来ていたらしい。
途中で絵心さんからの施設内放送が流れ、コソコソ行っている事は筒抜けだ、と言われていた。
その後帝襟さんに見つかって、カイザーはまだ逃走中。
「 無理しなくていいのに、 ( 🙌🏻 ふは 」
「 結構皆寂しがってるぞ 」
「 …そっか、 ( 🙌🏻 」
「 イガグリとかほぼ喋んねぇしな 」
「 …おぇあ”、… 」
「 …ごめん、俺が行くよ ( 🙌🏻 」
話せるかな、と声を出したは良いものの、伝わらない言葉になりそうなので諦めて手話にする。
「 …俺が、って言ったのか、? 」
「 !! ( こく 、ッ 」
「 伝わった伝わった 」
ぐっ、と親指を立てる黒名。
上を見れず下だけ見て過ごしてきたこの3ヶ月。
上を見られるのは夢を持った人間だけだと教えてくれた3日前。
” 皆と普通に話す “ 、と言う曖昧だった目標を確実にする為に練習して来た今日まで。
───── この日々は無駄じゃ無かった。