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ワンクッション
相変わらずのグルッペンらしい冗談だと思っていたエーミールは、グルッペンを嗜めようと声をあげたが、グルッペンから放たれる鬼気迫る雰囲気に飲まれ、言葉さえ失った。
まるで獲物を前にした猛獣のように、グルッペンの金色の瞳はエーミールを捉えていた。呼吸も荒く、引き絞られた瞳孔からも、グルッペンの正気は窺えない。
確実に、エーミールを狙っている。
「……落ち着いてくれ、グルッペンさん……」
「落ち着いてるよ、落ち着いているさ。エーミール……」
「だったら……」
離せ。
そう言おうとした時、瞳孔の開いたグルッペンの瞳が、狂気を帯びて光る。
「もう、あれが幻覚だろうと何だろうと、どうでもいい。俺自身で確かめる」
グルッペンの顔がエーミールに近付くのを、エーミールは腕を割り込ませて何とかグルッペンから距離を取った。
「わ、わかった、グルッペンさん!初めてなんだろう?…少しだけ、少しだけ待ってくれ!」
そう言うとエーミールはズボンのポケットから携帯電話を取り出し、忙しない手つきでダイヤルを押した。
「……私です。……■□通り周辺に、Aクラス以上はいますか?…SS?……構いません。大至急寄越してください。場所は……」
「はい。大至急お願いします」
エーミールは電話を切ると、緊張を走らせながらも努めて笑顔を浮かべて、グルッペンをなだめた。
「大丈夫だ…。大丈夫だから…落ち着いてくれ、グルッペン。今、プロが来てくれるから…、彼女に任せよう…。な?」
「プロ……? 彼女…?」
グルッペンの瞳孔が開き、ギラついたルビーレッド色の瞳がエーミールに突き刺さる。エーミールは喉に鋭いナイフを突きつけられたような感覚に、背筋が凍る。
話を逸らすのは簡単だ。
だが、今のグルッペンにそれをしたら、何が起こるかわからない。
グルッペンの狂気にエーミールが飲まれそうになった時、来客を告げるチャイムが鳴った。
「ああ、来たようだな。取り敢えず、濡れたままではいただけないから、少し身だしなみを整えてきてください」
エーミールはそう言ってグルッペンの腕の中からすり抜けると、インターホンの方へと走った。
エーミールがドアを開け招いたのは、長いブロンドヘアの美しい女性だった。
「やあ。急に呼び立ててすいません。よく来てくれました」
「初めまして。貴方がお客様?」
「残念ながら、私ではないんです。貴女にお相手していただきたいのは、彼です」
女性にそう言うと、エーミールはグルッペンを指し示した。
「あら、こんばんは。そちらも素敵な殿方ね」
「おそらくだが、彼は経験がない。優しく頼みます」
「ああ、そういうことね。わかったわ。あの方のお名前は?」
「グルッペンです。グルッペン、彼女はシルビア。キミの『カウンセラー』だ」
「よろしく。ミスター・グルッペン」
「『カウンセラー』…ね」
エーミールから紹介を受けた淑女然とした美しい女性は、それでも見る人が見れば娼婦とわかる女性だった。
立ち振舞いからして、マナーも教養もある高級娼婦なのは確かだ。
グルッペンは彼女を頭の上から爪先まで、舐めるように不躾に見つめた。
「ともあれ、こんなところで立ち話もなんだ。私はレポートと論文があるから、自室に籠るよ。ミス・シルビア。彼のことを頼みます」
「任せて」
シルビアの言葉にエーミールは安堵し、自室へと籠ると、ようやく深いため息を吐いた。
エーミールはグルッペンが自分に執着するのは、雛鳥の習性のようなものだと思っていた。ペヨーテの成分が見せた幻覚のように仕向けたつもりだったが、何故かグルッペンの執着の方向はエーミールに向いてしまった。
なかばエーミールの自業自得ではあるが、先のことを考えるとグルッペンと関係を持つことは、いただけない。
ファーストインパクトの強すぎた幻の初体験の記憶を吹き飛ばすならば、もっとインパクトの強い体験をさせればいい。
そこでエーミールは、自らの商売の一環である組織に連絡し、ストリートガールのなかでもとりわけハイスペックな女性を呼び寄せ、グルッペンにあてがった。
後は彼女に任せればいい。
エーミールはほっと一息つくと、タバコを取り出して口に咥えた。
その時、部屋の外からガラスの割れる音と、甲高い女性の悲鳴が上がった。
「何があった!」
不穏な状況にしか思えない物音に、エーミールはタバコを捨てて部屋を飛び出した。
そこには、割れたワインのビンを太ももに刺したグルッペンと、恐怖のあまり立ちすくむシルビアの姿があった。
「グルッペンッ!」
興奮で呼吸の荒いグルッペンは、うつむいたまま声すら上げない。エーミールは横目でシルビアに説明を求める視線を送るが、彼女は困惑した様子で両手を口にあて首を横に振るだけだった。
「……折角来てもらったのに、すまない、お嬢さん。……帰って……くれ……」
鬼気迫る雰囲気ではあったが、それでも必死に理性を振り絞っているのだろう。グルッペンの震える手が、太ももに刺さった鋭利なビンを更に食い込ませる。
「で、でも……」
目の前で繰り広げられている惨劇にもかかわらず、それでもシルビアは『仕事』であることと、出血を続けるグルッペンを慮っていた。
幽鬼のようにゆらりと立ち上がったグルッペンが、ゆっくりとシルビアに向かって歩み寄る。
異変を察したエーミールは、シルビアとグルッペンの間に身体を滑り込ませ、シルビアを庇うように立ちはだかった。
「…すまない、お嬢さん。帰った方がいい。これを」
エーミールはズボンのポケットから、雑に10ドル札の束を取り出し、シルビアに渡そうとした。
「え?で、でも、私……」
「迷惑料です。すまなかった。すぐ帰りなさい」
「は、はい……」
「このことは、他言無用だ。キミのボスにも、です」
「……わかりました」
シルビアはエーミールから金を受け取ると、ハンドバッグを持って、急いで部屋を後にした。
女は去ったが、グルッペンの興奮はおさまらない。むしろ、呼吸は更に荒くなり、虚ろとも不気味とも言える眼でエーミールを見つめていた。
「賢明だ、エーミール。彼女を帰らせるのが遅かったら……」
「その切っ先は、今度は彼女を襲っていただろうな。……まずは傷を見せろ」
「……おさまらん。キミが相手をしろ、エーミール」
「血が止まっていない。まずは止血が先……」
「エーミール」
グルッペンの眼が、狂気を帯びて光る。
もはや誰の言葉も、グルッペンには届かないだろう。
貴様もか、グルッペン……。
エーミールは腹の中で舌打ちしたが、さすがにルームメイトの惨状をそのままにはできない。
「彼女ではダメだ…。キミしか…エーミールしか、受け付けない」
「……わかった。先に止血だけでも、させてくれ。頼む」
「こうして…血を抜かないと……また暴れてしまいそうだ」
「……まずはビンを抜く。血が吹き出さないよう、タオルで押さえておけ」
「エーミール……、エーミール……」
虚ろに繰り返される言葉は、取り憑かれてしまった相手の名前。
「こうなってしまった以上は、逃げも隠れもしない。地獄まで付き合ってもらうぞ」
覚悟を決めてエーミールがそう言い放つと、グルッペンの太ももに刺さったビンを抜いた。すぐに持っていたタオルで傷口を覆う。思った以上に傷が浅かったのか刺さった場所が良かったのか、それほどタオルに血が染みていない。
「……出血が落ち着いたら、ズボンを脱げ。止血帯はないが、ベルトで…まあ、何とかなるだろう」
「脱がせて…くれないか…?」
「……いいだろう。ただし、止血が終わるまでは、大人しくしていてくれ」
ズボンの上からもわかるほどに興奮しきっているグルッペンに警戒しつつ、エーミールはグルッペンのズボンのベルトとボタンを外す。
グルッペンの息遣いの荒さにエーミールは警戒をしながら、エーミールはゆっくりとグルッペンのズボンを脱がしていた。期せずしてエーミールの顔がグルッペンの股間に近付いたその時、グルッペンの両腕がエーミールの頭を鷲掴みして押さえつけてきた。
「!!」
「……しゃぶってくれ」
命令口調ではなく、懇願するようにグルッペンが言う。だがそこには、拒否できる空気はない。それでも、
「……止血してから、と言っただろう?」
エーミールとしては、グルッペンの怪我を考えても、止めねばならなかった。
「ダメだ。今、してくれ」
エーミールの頭を押さえるグルッペンの力が、更に強くなる。
拒否権はない。
猛りきったグルッペンのモノが下着から解放され、中身がエーミールの目の前で揺れる。
「……」
エーミールは顔をしかめつつも、雄臭いグルッペンの肉棒を恐る恐る口に含んだ。
「んッ、む……ッ?」
エーミールが口に含むと、グルッペンは更に強くエーミールの頭を押さえつけ、一気にエーミールの口の中に猛った肉棒を押し込んだ。
「ぐっ…ッ!うぶ…ッ」
「……ははっ、思った通りだ。間違いない!キミが…ッ、お前が…精霊そのものだったのか!」
「ん、んぐぅ……ッ!!」
苦しい。
口の中で大きくなり、喉すら圧迫するグルッペンの肉棒。
雄の臭いと血の臭いに、むせそうになる。
涙が滲む。
「いいぞ…、いい表情(かお)だ。エーミール…」
陰鬱としていたグルッペンの表情が、次第に光悦となっていく。腰の動きも激しくなり、エーミールの喉奥を激しく突きまくっていく。
「っは、エーミール…、やっぱり…お前だったんだな、エーミール…ッ」
「んッ!ん”ーーーッ!ン”ーーーッ!!」
次第に激しくなるグルッペンの動きに、エーミールは苦しさから逃れたいと踠こうとするが、グルッペンはエーミールの頭を押さえつけたままガンガンとついてくる。
「ふッ、う…、エーミール…、エーミール…ッ」
「…うッ、あ…ッ、エー…ミー…、ル…」
「んぶっ、ぐっ、……ぶっ、…っはッ!」
グルッペンが放出した精液が口の中いっぱいに溢れ、エーミールはたまらずグルッペンの肉棒から液体まで、全て噴き出してしまった。
「……ッ、げほッ!ガ…ッ、はッ!」
喉の奥の圧迫感とねばつきのせいで、違和感がひどい。エーミールは何度か咳き込み違和感を少しだけ緩和させると、口の周囲の残滓を手でぬぐった。
「……満足したか、グルッペン。もう……、いいだろう?」
「まだだ…。まだだよ、エーミール…」
わかってはいたが、やはりこれで終わりというわけには、いかなかった。
エーミールを見つめるグルッペンの眼は、相変わらずギラついていた。
逃がす気はない。
狂気を孕んだ紅玉色の瞳は、如実にそう語りかけていた。
「……その前に、いい加減に手当てをさせろ。そのうち失血死するぞ」
エーミールの忠告にも、グルッペンは首を左右に振り、頑なにエーミールの腕を掴んで離さない。
「ちゃんと相手はする。嘘や誤魔化しはしない。だから、手当てをさせてくれ」
「もう…、逃げるなよ?エーミール…」
「……ああ」
エーミールがしっかりと頷くのを見て、グルッペンはやっとエーミールから手を離した。
「五分だ。五分で終わらせろ」
「……厳しいな。だが、承知した。やれるだけやる」
エーミールはそう言うと、足早にバスルームと自室に走り、タオルと包帯と薬を持って戻ってきた。
「出血は思ったより少ないが、傷口は深い。終わったら、必ず病院に行くんだ」
エーミールを見据えるグルッペンの眼が、妖しく光った。背筋に寒気を覚えつつも、エーミールはグルッペンを見返して首を横に振る。
「わかってる。先にヤる事はヤる。だから、セックスが終わったら、必ず病院に行ってくれ」
「……いいだろう。約束しよう」
エーミールはグルッペンの答えにやっと安堵を覚え、深いため息を吐くと傷口の手当てを始めた。
エーミールの言う通り、傷口は思ったより深い。エーミールが手当てをする間、グルッペンは時計から目を離さない。
止血が精一杯だな。
エーミールは心の中で舌打ちし、取り急ぎ傷口の上を包帯で強く縛り、傷口を消毒してガーゼとタオルを当てて固定した。
「五分経った」
グルッペンが言い放つ。
エーミールは、ため息を吐いた。
雑ではあるが、これでとりあえず出血は何とかなる。
「本当は、もっとしっかり消毒して、体内のガラスの破片の有無を調べ、縫合くらいはしたかったのですがね」
「キミが相手をしてくれるなら、足の一本くらい、なくなっても構わん。服を脱げ、エーミール」
「……わかってますよ、グルッペンさん」
エーミールは今度はグルッペンに聞こえるような露骨な舌打ちをして、ズボンとパンツを脱ぎ始めた。
「……シャツもだ。脱げ」
下半身を露出させ、グルッペンの上に跨がろうとしたエーミールに、グルッペンはそう言い放った。
「……セックスできれば、いいんだろう?シャツはあっても穴さえ覆ってなければ、問題ないはずだ」
「脱ぐんだ」
腹の底からの鬼気迫る声で、グルッペンが命じる。
エーミールは背中にぞわっとしたモノを覚えたが、首を左右に振ってみせた。
「……断る。シャツは着たままでも、できるだろう?」
「脱げ」
「いやだ」
執拗に脱ぐように言うグルッペンと、頑なに拒否を続けるエーミール。どうしようもないほどに、折り合いがつかない。
業を煮やしたグルッペンは、エーミールのシャツの裾を掴むと、無理矢理めくり上げた。
「!! やめ…ッ!」
「……なるほど」
シャツの下の素肌を見て、グルッペンは邪悪な笑みを浮かべて、エーミールの顔を見た。
【続く】
コメント
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gr氏なかなかに強引だなぁ(いいぞもっとやれ)