コメント
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stxlのBLってあんま好きじゃなかったんですけどkoto様のものだったら見れます…ていうか好きです🫶koto様の作品だったら何でも行ける気がしてきました(*´˘`*)今回も神作品ありがとうございます( ; ; )
❕attention❕
・ nmmn 、BL
・ stxl橙(攻受曖昧) × stxl赤(攻受曖昧)
・浮気 、喫煙 、紫赤 表現 あり
上記に理解がある方のみの閲覧を推奨します
- K side -
「着いたよ」
助手席で寝ているこえ氏に声をかける。こえ氏はゆっくりと目を開いて辺りを見回した。
「人 、ほとんどいないね」
それは残念という意味合いではなくむしろ嬉しいという意味合いであることに俺は気付かないふりをした。
「まあいいや 。海が綺麗でしょ」
ここはこえ氏が行きたいと行った場所だった。俺は初めてきたのだ。
「うん 。すごく」
よかったとこえ氏は笑って海がよく見える草原に腰掛けた。俺も隣に座る。
「どうしてここに来たいって言ったの?」
こえ氏が何も言わないのでそう質問せざるおえなかった。こえ氏はゆっくり息を吸った。
「別れよう」
周りの音は全てなくなったように、こえ氏の声だけが聞こえた。
「…どうして?」
「どうして?くにおが1番よく分かってんじゃないの?」
心当たりがない……わけではなかった。
ほんの軽い気持ちのあの時間をもし浮気と呼ぶならば原因はそれだろうと思う。
「わかんない」
まだこれじゃないと信じたくて咄嗟に口にそう出る。
「そう …」
こえ氏は思い詰めた顔をした。そして俺のポケットから勝手に煙草を取り出す。
「…僕が別れたいからかな」
こえ氏はライターを取りだし煙草に火をつけた。疲れたように吸って、白い息を吐き出す。
いつのまに吸えるようになっていたのだろう。
「なんで?俺 、そんなにひどかったかな」
こえ氏が嘘をついていることくらい簡単に分かった。きっとあのささやかな密会はバレていたのだろう。
「まあね。悪くはなかったけど」
こえ氏は再び煙草を吸った。その姿を見ているとなんだか無性に吸いたくなってきて俺も煙草を1本取った。
「くにおは、僕じゃなくてもいいんじゃない?」
こえ氏はやや自嘲気味に笑った。
「そんなことないよ…あ、ライターつかない……」
使い古したライターはついに壊れたようだった。こえ氏は何も言わなかった。ただ俺の方を見て自分の煙草で俺の煙草に火をつけた。
「最後までそうやって嘘をつくなら僕はそれでいいよ」
「俺は…」
「嘘だらけで本当の愛なんてなくても 、思い出は楽しいものだけだから。僕たちはなーんにも悲しくない。ね?」
気付かないふりをしたこえ氏は冷たい笑みを浮かべて煙を吐き出した。
「僕よりも愛せる人がいたんでしょ」
「…」
「いいんだよ。怒ってないから」
そう言われると無性に怒って欲しかった。余裕そうに笑うこえ氏が怖かった。
「そういうことだから。ありがとう」
俺が悪かった。
会えない日が多くて寂しくて本当にほんの軽率な気持ちだった。けどそれは許されない行為だった。分かってる。だから俺に引き止める権利は無い。
「じゃあね」
こえ氏は煙草の箱を俺の方に蹴って海に背を向けた。俺は何も言えずに座り続けていた。
C side -
「で、別れられたんだ」
「ようやくね」
こったんは何ともないような顔をして煙草を吸った。匂いがきついからと言って彼はキッチンでは吸わないようにしているのだ。
「よかったじゃん。これで謎の罪悪感もなくなるし」
「うん。なんか反省してそうだったのだけ面白かったかな」
別に何にも面白くない。ただ、勝手に頭が楽観的になろうと、言葉の薬に頼り出したようだ。
「お愛顧だけどね。浮気に関しては」
同じ匂いになりたくて煙草を吸い始めたのが懐かしい。
「くにおの方が早かったよ」
「まあね」
こったんはソファに座る僕の頬にキスをして「お腹減ったでしょ。夕飯作ったから食べよう」と言った。
「別れたわけだから。今度は俺にちゃんと集中して。できるでしょ?」
「もちろん」
「進めなかった先もさ、進めさせてよ」
一応彼氏がいる訳だからこれ以上は進めないと断った行為。
「もちろん。なんなら今からでもいいよ」
「それは早いかな。夕飯食べてシャワー浴びないと」
こったんはそう微笑んで先に食卓に向かった。
別れて空いた穴を埋めて欲しい、という僕の欲望は早々に叶えられそうだ。
「こえくん」
優しい彼の声がする。
「今行く」
「あんなに愛してたのにもうすっかり愛してない。なんでだろう。不思議」
最後のくにおの写真に削除ボタンを押し、笑いかけた。