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俺・・・リードはため息を付いた。
ついに昨日、村長たちの会議で、7つあるダンジョンのうち、
サルガドという、ダンジョンの中では一番安全といわれているダンジョンが開放された。
ダンジョンの中には未知の生物、高価な物などがあるらしい。
というわけで、今日の朝に父さんに相談してみたものの、
「まだ、実力が足りないから、行かせる訳にはいかない」
と、言い返されてしまった。
俺だって、もう13才なのに・・・。
その次の日、俺は親の意見を聞かず、かろうじて武器になりそうな玄関脇の箒と、
魔力を溜めた布で作ってある、見た目に反してものすごい量が入る袋を一袋持って、
村の外れにあるダンジョンへ向かった。
「ここが・・・ダンジョンかぁ・・・」
圧倒された。
ものすごい大きさの穴が崖の中腹に7つも開いているのだ。
まるで、目の前の物を引きずり込もうとするように・・・
7つのダンジョンのうち6つは、板が厳重に打ち付けられている。
そして、一番右のダンジョンだけが封鎖されていない。これが、サルガドなんだろう。
村の人に見つからないよう、気をつけながらサルガドに入った。と、その時・・・
ズバッ!
と、耳元で剣を振った音が聞こえた。
急いで音の主を探すと・・・
緑色の肌の、ボロボロの服を着たモンスターがいた。
こいつは・・・ゴブリンだ。人型モンスターの中では一番弱いが、集団で要られると厄介なモンスターだ。
運良く、そこにいるゴブリンは3匹だった。これなら勝てるだろうと・・・油断していた。
突然、ゴブリンが剣を振ってきた。
なんとか躱したが、左右から2匹のゴブリンが追撃してくる。
何なんだ、このゴブリンたちは?人間より連携している。
一匹のナイフが腕をかすめ、右腕に鋭い痛みが走った。
麻痺薬が塗ってあった。体が麻痺し、動かすことができなくなった。
ヤバい・・・
一番安全なダンジョンだから、と油断してろくに装備を整えなかった、つけが回ってきた。
流石に、箒を武器に持ってきたのは後悔している。
その後も必死に避けようとしたが、ゴブリンの持つハンマーが後頭部を直撃し、意識がなくなった。
気がつくと、ダンジョンの入口の大階段の上に倒れていた。
誰かが連れてきてくれたのだろうか。でも、一体誰が?
そして、もう夕方だ。つまり、あれから6時間以上経っているということになる。
帰ったら、怒られるんだろう。もしかしたら、晩飯抜き??それだけは嫌だ…。
もしかして、朝飯は大嫌いな漬物!?そうだったら絶対吐く自信ある…。
そんな事を考えながら、重い足を引きずって家に向かった。
「うっ・・・」
俺は夢にうなされていた。
夢にうなされたことがない、ということだけが僕の自慢だったのに、だ。
大勢のモンスターが後ろから怒涛の勢いで追いかけてくる。
必死に逃げるが、少しずつ差は縮まっていく。
捕まりそうになった瞬間、目が覚めた。
ベッドから身を起こした瞬間、夢の出来事に恐怖するよりも先に、昨日の出来事がついさっきのように頭に蘇る。
昨日の夜、父さんのホルト、母さんのキャロル、祖父のルブロックは寝ていたが、
妹のエリカは起きていた。そして、俺を見ると、泣きながら抱きつかれた。
泣き声で何を言っているのかよく聞き取れないが、
「もう会えないかと思った〜」
と、聞き取れた。
このままだと家族全員起こされそうだったから、大丈夫だぞ、と声をかけ、
無理やりエリカを寝室に運んだ。
その後、約4.5畳の狭ーい自室に入った瞬間、着替えることもなく、崩れ落ちるように寝てしまったんだった。
自分の格好を見ると、当然ながら、まだ昨日の服のままだ。晩ごはんも食べていない。
急いで部屋の端にある少し大きめの木箱から着替えに必要な服を取り出した。
着替え終わったら、もの凄く憂鬱な気分で食卓のある部屋に降りていく。
父さんの怒鳴り声が飛んでくる覚悟で、首をすくめながら頭をのぞかせると……。
やっぱり怒ってた。
一応自分も反省はしている。でも、好奇心が勝って、ダンジョンに行ってしまった。
でも、そこまで怒らなくてもいいと思うんだけどなぁ。と、口をとがらせながら「ごめんなさい」と謝った。
その後も小一時間正座させられながら、ずっと怒られた。
そして、俺の予想通り朝飯は山盛りの漬物だった。
俺がその後吐きまくったことは、言うまでもない。