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E p i s o d e .1
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初夏の登校時間。
次々と生徒が門を通ってくる。
女、男同士で来る奴もいれば、カップルで来る奴らもいる。
「……んー、」
窓際の席でぼんやりと外を眺めていたが、ずっと同じ飽きてきて伸びをした。
あくまで退屈しのぎのつもりだ。
(帰りたい……)
「ばぁっ!!」
「あ、おはよ。」
帰りたいだなんて考えてたら、後ろから脅かされた。別にビビったりはしなかった。普段からホラゲーやってるせいかな。
「ちぇ、もうちょっといい反応してくれると思ったんだけどなぁ。」
後ろを振り向けば、緑髪ポニーテールの女子が不貞腐れていた。そんなにビビってほしかったのか。
「ふぁあ、ねっむ〜。」
あくびをしながら隣にがたんと座る女子。
この子は優柔不断で有名な八神菜瑚。
緑髪で高めのポニーテールがチャームポイントで、何度もいうけどマジで優柔不断。
話してると急に話変わるし。
「それでー、琉唯の奴とは最近どーなの?笑」
ほらきた。毎日これだ。
私の恋愛事情を聞きたがる。
私は興味ないっつーの。
「別に何も。どうでもいいし。」
「えー、かわいそ。」
自分からふったのにも関わらず他人事のように返してくるのもまたいつも通りで安心する。
そんなこんなで話していると、教室内で少し話題が上がった。
話題といっても、という話だが。
「二人ともおはよう。」
上品に笑みを浮かべて挨拶をしてきた彼女は勉強もできて身体能力もいい、それに顔も美人である。おまけに寺の娘。
西園寺仍。バイトはしておらず、学校構わず寺の巫女をしている。
まさに完璧美少女。まあ、いつも一緒にいる私と菜瑚からしたらド天然と眠ければどこでも寝れるっていうのがたまに傷かな。
「いやぁ、相変わらずお綺麗で。」
手を頭に回し冗談混じりで言う。冗談混じりでとか言ってるけど、菜瑚は褒め上手だ。
お世辞は絶対に言わないし、一緒にいて気楽。
完璧美少女の仍には誰もが近寄り難いといいかねないのに、唯一、一人だけべったりな奴がいた。
「あ、先輩おはよぉ。」
そう言いながら当たり前のように一つ上の学年のクラスに入ってきて仍にバックハグ状態。
こいつは私らの一個下。蓮巳朔良。
ザ・ツンデレな男の子。私と菜瑚とかの前ではマジで無言だし、愛想悪いのに、仍の前では甘々なわかりやすい子。大好きなんだろうね。
そんな誰でも好きという感情がわかりやすいのにも関わらず、
「おはよう、あんまりクラスに入ってきちゃ駄目よ~?」
仍は抱きついてくる朔良の頭を撫でながら気づかない。天然×鈍感は怖いな。
「おい、朔良。」
そんなこんなしてたら眼鏡の男子が入ってきた。こいつも一個下。
なーんでこいつらは当たり前のように一個上の教室に入ってくるかなぁ?
「当たり前のように先輩の教室に入るな。」
そう注意をしていた。まあ入ってたら同じだと思うけど。
こいつは真面目くんの眼鏡っ子。成瀬遙。
仍や菜瑚からはハルと呼ばれている。仍に関してはハルくんだが。
遙はこのように毎日来る朔良を注意しにやってくる。別に放っておけばいいものを。
何かあるんかね〜。
「あ、先輩おはようございまーす!」
うるさいのが来た。これで後輩組勢揃いだよ。
せーんぱい。と言いながら近づいてくるこいつは、毎日欠かさず私に告白してくる馬鹿。
夏目琉唯。琉唯は今年の5月くらいから毎日私に告白してくる。休みの日はLINEで。
どうかしてるよ。
勉強もできない、ゲームばっかしてるこの私の何がいいんだか。馬鹿な男子もいたもんだね。
あー、私?
私はこの白峰高校2年の月谷依吹。
さっきも言ったけど、勉強は全くできないし、
家ではゲームばっかのつまんない女子高生。
で、琉唯に毎日告白されてる人。
それと、私は本当に恋愛に興味が無い。
何故かって?
そんなの簡単、漫画の読みすぎだよ。
漫画みたいな恋なんて望んだら負けだかんね。
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切るタイミング失いました。
𝕟𝕖𝕩𝕥➯➱➩お楽しみに