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「千春おはよー。」
「あー、ヨリおはよー。」
「どうしたん?寝不足?」
「逆ー寝すぎたー。」
「テスト勉強もせずに余裕しゃくしゃくですなぁ!」
「ヨリは勉強したの?」
「いやぁ平日にボス攻略するものじゃないね。」
「うん、把握した。」
2人はどんよりと学校に向かった。
「ただいまー。」
誰も居ないが帰り着くと必ずただいまと言う癖がついている。
普段着に着替え、ついでにお着換えセットを作る、いつお風呂に誘われても良い様に。
そして今日の分のお着換えセットも作っていた、そう、今日も温泉に入るつもりなのだ。
「よし、あと持って行くものはコレとコレと・・・あ、コレも持ってこ。」
そう言いながらいくつかの袋に詰めこみクローゼットの扉を開ける。
「ただいまー!」
「お帰りなさいチハル。」
「チハルさあああん!」
「え?何?どうしたのモリアン。」
モリアンは千春を見てすぐに泣き付いた。
「昨日チハルが帰った後に私たちは家に戻ったんですよ。」
「王都邸?」
「ええ、幾つかの貴族にチハルの事を説明したようで、私やモリアンの家も説明が有ったわけです。」
「それでどうしてモリアンが泣いてるのかが知りたいわ。」
「ええ、簡単に言うとモリアンの御父上が、チハルの付き人になったモリアンに不敬な事は絶対にしないでくれよと言う事でこんこんとお説教というか、まぁそう言う事です。」
「シクシクシクシク・・・」
「不敬な事をするとどうなるの?」
「はい、チハルは王女殿下になりますから質が悪い不敬を行えば・・・。」
サフィーナはそう言い首筋に手を添えスッと引く。
「ひぇっ・・・・・」
「ぅぇぇぇん。」
「どんな事をしたら不敬になるのかな?」
「今まさにやってますけどね、不敬な事。」
そう言って2人はモリアンを見つめる。
「うん、王女にしがみついてるね。」
「はい、不敬でしかありませんね。」
「サフィーはコレ止めなくていいの?」
「チハルがこれくらいで不敬にするなら止めてますけどね?」
「まぁやんないよね。」
「こう見えてモリアンは解ってるので他の人が居たらこう言う事はしませんから。」
千春は取りあえず荷物を置きたいのでモリアンを引きはがす。
「もうちょっと荷物あるから持ってくるね。」
千春は袋を幾つか取りに帰りテーブルに置く。
「サフィー、これ一応お泊りセットで置いておくから急にお風呂入る事になったら持って来てね。」
「はい、分りました、コレは?」
サフィーナはもう一つ同じようなナップサックを見つけ持ち上げる。
「あぁそれは今日のお風呂セット。」
「今日はもう諦めてるんですね、潔い事で。」
「それがさ、昨日帰ってベッドに寝っ転がったらそのまま寝ちゃってね、朝まで爆睡勉強出来なかったんだけど、今日授業受けてたら眠くならないし授業はすっごく頭に入るしで家に帰って勉強しなくても良くない?ってなったのよ。」
「それって普通なのではないですか?」
何を当たり前のことをと言わんばかりにサフィーナは千春に問いかける。
「頭のいい人の会話してる・・・。」
モリアンが恨めしそうな目で2人を見る。
「何を言ってるんですか?学園の授業をしっかり受けていれば家に帰って勉強しなくても良いでしょう?勉強する時間に勉強をする、授業中に勉強しないで家に帰って勉強するとか愚の骨頂でしょうに、時間の無駄遣いです。」
「今日つくづく身に沁みました。」
「チハルさんはこっち側だと思ったのにぃ!」
「どちらかと言うとそっち側だけどね。」
千春は笑いながらモリアンに答える。
「それで、今日は如何されます?夕食と王妃殿下と湯浴みはされると言う事で宜しいですか?」
「うん、お風呂はメグ様と一緒になるだろうなぁ、あーそうだったこれこれ。」
袋の一つから中身を取り出す。
「はいコレ。」
そう言ってリンスインシャンプーの詰め替え用を出す、学校帰りに寄ったスーパーで特売だったのでいっぱい買ってきたのだ。
「コレとコレはサフィーとモリアン用ね、あとこっちに入ってるのを小分けしてメグ様の侍女さん達にあげたいんだよねー、シャンプーに凄く反応してたからさ、良いサイズの瓶とか入れ物無いかな?」
「はーい!魔導士団のポーション作成部署に良いサイズの瓶が有りまーす!」
モリアンはなぜか手を上げ千春に言う。
「はい、モリアンさん明日で良いのでその瓶を手に入れて来てください、お金いるかな?」
「チハル忘れてるかもしれないけれど、私宰相様から金貨受け取ってますからね?必要な時は言ってくだされば購入しておきますよ。」
そう言ってサフィーナはアイテムボックスを開く。
「ええぇぇ!サフィーそれ覚えたの!?」
「はい、やっと使える様になりました、魔法でこんなに頑張ったのは久しぶりです。」
そう言いながらアイテムボックスから金貨の入った袋を取り出した。
「じゃぁお金が必要ならモリアンはサフィーから受け取って購入しといてね、それでその瓶に詰め替えて準備しといてください。」
「いつ?どこで?何個です?」
「明日、ココで、メグ様の侍女さん人数分。」
「了解です!」
「よし、それじゃ晩御飯作りに行きましょうかねー。」
テーブルに置いた他の荷物をアイテムボックスに全部入れる。
「作るんですね。」
「わーい!チハルさんの料理食べれるー!」
3人はワイワイ言いながら厨房へ向かう。
「ルノアーさーん!きったよーん。」
軽ーく挨拶しながら周りを見渡す、まだ下ごしらえをしてる最中の様で野菜を洗ったり肉を切ったりしていた。
「チハルさんいらっしゃい、今日も何か作るのかい?」
「うん、材料見てから考えようかなーと思ってるんですけど・・・これジャガイモですよね。」
「あぁ、腹壊す原因も分かれば安全に食べれるからね、元々ジャガイモは安くて日持ちも良いしな。」
「ジャガイモと一緒の箱にリンゴ入れてると芽が出にくいから一緒に入れたらいいよ。」
「・・・・よくそんな知恵がぽろぽろ出てくるな、早速保存してる方にリンゴを入れとくよ。」
すぐに人を呼びリンゴを入れておくように指示をしていた。
「あーそうだ、リンゴで思い出したが早速今日天然酵母を使わせてもらったよ。」
「そう言えばそろそろ5日くらい経ってるくらいだね、どうだった?」
「ビックリするほど美味いパンが出来たちょっと待っててくれ。」
そう言ってパンを取りに行くルノアー。
「ほら、これだ一口食べてみてくれ。」
「おー、柔らかいね、頂きまーす。」
千春は少しちぎって口に入れる。
「うん、美味しいね、リンゴの香りがするからまだ発酵出来そうだけど、これだけ出来れば大成功じゃないかな?多めに作って色々と試してみてね。」
「あぁ最初に作った奴だからな、基本を必要数作って研究用に幾つか準備してく事にするよ、ありがとう。」
ルノアーさんは笑顔で千春にお礼を言う。
「それじゃジャガイモいっぱいあるし・・・コロッケ作るかな。」
「「「コロッケ?」」」
侍女2人とルノアーは面白いようにハモる。
「そ、コロッケ。」
そう言いながらジャガイモの箱を弄りながら物色する。
「おー男爵っぽいなー。」
「ジャガイモを爵位で言ってると不敬・・・・いや、王女殿下が言うのは大丈夫なのか?」
「あははは、私の所でこの種類のジャガイモを育てたのが男爵様だったの。」
「へぇ、そう言えばつるっとしたジャガイモもあったな。」
「メークインかな?いっぱい種類あるからねー。」
千春のげんこつよりも大きなジャガイモを5個ほど取り出す。
「今日も王様達に出す分作っとく?」
「あぁ、チハルさんが作ると王族も喜ぶからな、そのコロッケは出そう。」
「おっけー、それじゃ1人2個として12個とサフィーとモリアンも食べるでしょー、ルノアーさんも食べる?」
「勿論!人数分では無く一杯作ろう、チハルさんが作るんだ絶対美味いに決まってるからな。」
そう言って人数を集める。
「よし、それじゃ指示してくれ!」
「うわぁ。」
そう、連れてきた人たちが皆新しい料理が作れるからか満面の笑みだった。
「それじゃジャガイモを剥いて切って塩ゆでするチーム、玉ねぎ微塵切りして炒めるチーム、肉を小さく刻んで挽肉にするチームに分かれてください!」
「よし、お前ら3人ジャガイモ、そこ2人は玉ねぎを、そっち3人は肉を挽肉にしろ。」
「「「「「はい!」」」」」
すぐに作業に取り掛かる、この調子なら下準備はすぐ出来そうだ。
「ルノアーさん、そう言えば固いパンってもう作ってないの?」
「作ってないな、何でだ?あのパン食べたら前のパンは食べれないだろう。」
「いんや!あれはあれで色々と使えるよ!少しで良いから作ってくれない?」
「そりゃ今まで作ってたからな、すぐに作れるがあのパンが要るのか?」
「まぁ無いなら今のパン使うからいいよ。」
「いや、作っては無いが有るぞ?誰も食わないから残ってるが。」
そう言って冷蔵室から固いパンをいくつか持ってきた。
「このパンは固いが日持ちはするからな、使えるなら使ってくれ。」
「おーあったんだ!それじゃこのパンを削ってパン粉に出来る?おろし金とか有れば良いんだけど。」
「削るのか?チーズグレーターで削ればすぐ出来るぞ。」
「あー!その手が有ったか、その固いパン5~6個全部パン粉にしてもらっていいかな?」
「了解。」
「あの量だと小麦粉と玉子どんくらいいるかな・・・足りなかったら追加すればいっか。」
千春は小麦粉と玉子を取りに行く、サフィーナが玉子を受け取りモリアンも小麦粉の袋を運ぶ。
「んじゃ小麦粉はこのバットに入れて広げまーす、そんでこのボールに玉子を入れてー、はいモリアンこれ持ってて。」
モリアンに泡だて器を渡す。
「えっ・・・・えええええ!!!」
マヨネーズを作った時の悪夢がまた来るのかと焦るモリアン。
「大丈夫だよ、黄身と白身が混ざるくらいで良いから。」
千春は勘違いするようにわざとそう言う渡し方をしたのだが、思った以上の反応をしてくれて面白がっていた、そうこうしている間に玉ねぎチームと挽肉チームの作業が終わっていた。
「玉ねぎチームは挽肉チームの肉を一緒に炒めてくださーい、挽肉チームは揚げ物準備してくださーい。」
「コロッケは揚げ物なのか、油は大丈夫だぞ、カラアゲも作るようになって揚げ油は常備しているからいつでも揚げれる。」
「おおお!それじゃジャガイモ待ちかな?」
「ジャガイモ良い具合に茹で上がりました。」
「それじゃジャガイモを取り出してマッシュします!」
「マッシュって?」
「潰すって事。」
そう言ってジャガイモを大きなボールに入れ潰していく。
「それじゃこの中に炒めた材料入れて混ぜてください。」
「「「了解です。」」」
「それじゃ挽肉チーム改め形成チーム!私が1個つくるので真似してください。」
千春は混ぜられたタネを小判型にして小麦粉を付け卵液に付けた後パン粉を付ける。
「はい、こんな感じ、ある程度出来たら揚げ物の方に持って行ってね。」
「ほほー小麦粉に玉子、パン粉な、他に味付けはしないのか?」
「ジャガイモを塩ゆでしてるから味はあるよ、足りないようなら胡椒を入れたりバター入れたりすれば風味も変わるけど私はノーマルが好き。」
そう言って形成チームと一緒にコネコネしながら小判型を作っていく。
「第一陣もっていきますねー。」
サフィーナがコロッケを揚げ物チームに持って行く、千春も付いていく。
「コロッケは良い具合に揚がったら上に浮いてきます、気泡が大きくなって浮いたら出来上がりです、揚げ過ぎると割れちゃうので気を付けてくださいね。」
「はい、分かりました。」
揚げ係の人は唐揚げも慣れたみたいで任せろ感がすごかった。
「はい、コロッケの作り方は以上です、そして作って失敗したことがあります。」
「え!?失敗したのか!?」
ルノアーさんが焦った声を出す。
「うん、コロッケは簡単だから問題ないんだけどね、コロッケにかけるソースがね・・・・」
「ソースを今から作るのか?」
「いや・・・それが作れないの。」
「どういう事なんだ?」
「多分材料がそろわない、そして時間がめちゃくちゃかかる。」
「どうするんだ?」
「まぁコロッケ自体に味があるからそのままでも美味しいけど、ウスターソースって無いよね?」
「聞いた事無いソースだな。」
「・・・・醤油ってある?」
「あるぞ?」
「あるの!?」
「ああ、東のハース領に来る貿易船で運ばれてくる豆から出来た調味料だろう?」
そう言って倉庫に入って行く。
「ほらコレだ。」
出してきたのは瓶に入った真っ黒な液体。
「すごく塩辛いが海沿いではよく使われてるな、魚料理によく合うそうだ。」
「おおおお!これとマヨ混ぜてマヨ醤油作ろう、ウスターソースは多分無理だから。」
「分ったどれくらいの割合で混ぜておく?」
「マヨ多めでほんのり塩気が付く程度でお願いします、好みで掛けて食べる感じでね。」
「分った、準備しておこう。」
「あとは盛り付けでキャベツの千切りとトマトかな、それじゃ後はルノアーさんお任せしていいかな?」
「ああ、大丈夫だ、それじゃ今日はチハルさん王族と一緒でいいのか?」
「うん、王妃殿下の所に行ったら確実にそうなると思う。」
「確定だな、用意しておこう。」
2人とも苦笑いしながらそう返事する、後ろを見ればサフィーナもモリアンも苦笑いしていた。
「それじゃメグ様の所に行きましょうかねー。」
「はい、それでは行きましょうか。」
そう言って厨房を出る。
「・・・・コロッケは?」
モリアンがコロッケの事を聞く。
「・・・・モリアン先に夕食取っといで、後でサフィーと交代してね。」
「了解しました!!!!」
千春が言うと食い気味に返事をした、全力で。
「サフィー、いこか。」
「はい、行きましょう。」
「コレ不敬?」
「ええ。」
2人は不敬と言いながら走って厨房へ戻るモリアンを微笑みながら見つめていた。