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服を新調し、執務室へと向かう。
私の後をたどたどしい足取りで追いかける姿を見て、悶絶し
やはり私は、追いかけるより追いかけられたいのだなと痛感する。
芥川君はそんな私を不思議そうに見つめていたが、歩くことに集中するようだ。
奥の執務室から銀が顔を覗かせる。
芥川「!、銀…!」
銀「兄さん!」
待ちきれずに此方に駆け寄り、抱きつく。
芥川「銀、良かった…」
銀「兄さ、ん…ごめんなさいッ…」
無事な兄の姿を見て安心したのか、泣き始めてしまった。
心外だったのか、芥川君は体を固くしておどおどしている。
芥川「ぎ、ぎん…、僕は大丈夫故、泣き止め…」
あたふたしている姿に加護欲がでる。
太宰「ほら、兎に角部屋入って。」
芥川「!、承知」
銀「は、い…(泣)」
執務室が珍しいのか芥川君は落ち着かない様子で中に入った。
太宰「いきなりだが、芥川君は私が訓練する。」
芥川「訓練、とは…?」
太宰「君の衣服を操る異能、まだ未熟だから任務に向けて。」
芥川「任務、…」
銀「…」
私の言葉を繰り返して、理解しようとする姿は愛おしい。
だが、予定より早く拾ったために貧弱な体はまだ訓練は無理そうだ。
まずは食育や学問など基本的なことを叩き込む。
太宰「銀ちゃんは、信頼の置ける幹部様に見てもらおうか。」
銀「分かり、ました…」
芥川君は不安げに眉を寄せる妹の頭を撫でる。
芥川「…、同じ組織に居るのだからまた会える。」
芥川「そう心配しなくとも良い。」
銀「…!、」
太宰「会おうと思えばいつでも会えるよ。
…じゃあ私は銀ちゃん連れて行くから此処で待ってて。」
芥川「承知…、」
芥川「…、」
たった一人の妹が心配なのだろうか。
執務室のドアの隙間からじっと見つめている。
妹想いなのは変わらないなと苦笑する。