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生まれて来なきゃ良かった

生まれて来なきゃ良かった

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生まれて来なきゃ良かった

♥

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2021年03月31日

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弓(ゆみ)

今日はママと私だけで、
お出掛けだ。

弓(ゆみ)

ここはデパートだ。

弓(ゆみ)

ママの手を自分から、
私が掴んだ。

弓(ゆみ)

ママの手はやっぱり、
私への愛で溢れていた。

弓(ゆみ)

ふと、私は周りを見た。

弓(ゆみ)

人々が私を睨んでいた。

弓(ゆみ)

人は噂した。

弓(ゆみ)

私への文句だ。

弓(ゆみ)

だって私はさっきから、
人々の事を睨んでいるのだから。

弓(ゆみ)

ある人はこう言う。

実月(みづき)

「ねぇ、あの子睨んでるわよ。
酷いのね。顔は可愛いくせに。
心は性格悪いのね。性格ブス
なのよね。何よ。顔は可愛く
無いわよ。ブスよ。ブス。」

弓(ゆみ)

ある人はこう言う。

矢良衣(やよい)

「あら、あの子かわいそう。
見てよ。あの子にかわいそう
言ったら、その通り。私が
かわいそうです。って平然な
顔してるわよ。私の子の方が、
よっぽどかわいそうだわ。」

弓(ゆみ)

私の子の方がよっぽど、
かわいそう。私の子。
その子は血の繋がった、
家族って事か。その子は
母親の後ろに隠れている。

弓(ゆみ)

ある人はこう言う。

優衣(ゆい)

「あの子のせいで気分が、
不快だわ。チッ。あらやだ。
ムカついたときの癖で、チッ。
が、出ちゃったわ。」

弓(ゆみ)

ママが私の手を睨む
ように掴んだ。

弓(ゆみ)

私が愛らしく、
ママの手をギュッと、
握ってあげなかったからだ。

弓(ゆみ)

私はママの手を掴んだから。
私が悪いの?

弓(ゆみ)

ママは
私の手をギリッと、
睨むように。

弓(ゆみ)

爪を立てて。走り出した。

弓(ゆみ)

ママは周りの人が嫌で、
私を守るために走った
んだよね。逃げるために。

弓(ゆみ)

ママは私の事が、
心配なんだよね。

弓(ゆみ)

ママはバカだな。と、
笑うように。さらにギリッ
と、私の手を爪で立てた。

弓(ゆみ)

聞こえる。雑音。周りの人の
声の、雑音だ。

弓(ゆみ)

私は周りの人を、
また睨んだ。

弓(ゆみ)

私は人の事、全部
信じられなくなった。
私に酷い事をしてきたから。

弓(ゆみ)

だから、睨んで殺る
んだ。復習して殺る
んだ。

弓(ゆみ)

ある人はこう言う。

愛衣(あい)

「見てよ。あの子。
完璧に殺ってみなさいよ。
完璧にここに居る全員を、
睨んでみなさいよ。何あの子。
泣いてるわよ。泣きたいのは、
こっちの方だ。目に涙たまって、
睨めていないじゃないの。
キモいのね。」

実月(みづき)

「ほらほら、走れ。
走れ。転ばないで、
完璧に走ってみろ。」

弓(ゆみ)

私は転んだ。
ママはそれでも、
私を引っ張るんだ。

弓(ゆみ)

私は何とか立っても。
立つので精一杯。

弓(ゆみ)

走ることなんか、
出来ない。立って
すべって転んで。

弓(ゆみ)

それを繰り返す。

弓(ゆみ)

まだまだ、私は
強がっても、泣いて。
泣いて。泣くんだ。

弓(ゆみ)

ある人はこう言う。

悲恵(かなえ)

「あらやだ。汚いのね。
見てよ。あの子。鼻水
出て来てるじゃない。
キモいのね。
嫌ね。」

弓(ゆみ)

私は恥ずかしくなった。
私は今度は下を見た。

弓(ゆみ)

ある人は言う。

優衣(ゆい)

「あの子ったら、
下見てるわよ。
思いやりのある人はね。
周りをよく見るのよ。
あの子、思いやり無いのね。」

弓(ゆみ)

私はふと、少し
顔をあげると、

弓(ゆみ)

やっと外に出れる。
ドアが見えた。

弓(ゆみ)

ドアの近くになると、
ママが急に手を放した。

弓(ゆみ)

そのはずみで私は、
ドアにぶつかった。

弓(ゆみ)

ドアを開くための、
スイッチを押さなかったからだ。

弓(ゆみ)

スイッチを押そうと私は手を、
伸ばした。

弓(ゆみ)

そしたらママが、
スイッチを押したのだ。

弓(ゆみ)

私は立とうとした。

弓(ゆみ)

私はなぜだか、ボーとして、
転んでしまった。

弓(ゆみ)

ある人はこう言う。

矢良衣(やよい)

「あら、あの子反応が遅いのね。
あの子遅すぎるのよ。
これだから、立ってもすぐに、
転ぶのね。
あの子、嫌な子。」

弓(ゆみ)

立たなきゃ。立たなきゃ。

弓(ゆみ)

ママがすばやく、私の手を
睨むように。ギリッと爪を
立てた。

弓(ゆみ)

ママはまたすばやく、
私の手を引っ張った。

弓(ゆみ)

そしたら、私は立てた。

弓(ゆみ)

転びそうになったけど、
なんとか、走れた。

弓(ゆみ)

そして、外へ出れた。

弓(ゆみ)

ある人はこう言う。

愛衣(あい)

「あら、泣く理由は何かしら。
かわいそうな振りでも、してる
のかしら。鼻水垂らして、
床が汚いのね。
非常識な人なのね。」

弓(ゆみ)

ある人はこう言う。

悲恵(かなえ)

「あら、あの子のお母さん
ったら、綺麗な人ね。
性格悪いあの子を産んで、
お母さんが、
かわいそうよね。」

弓(ゆみ)

ある人はこう言う。

実月(みづき)

「産んだ。お母さんの
責任じゃないわよ。
あの子自身の責任よね。
本当、あの子のお母さんが、
かわいそうだわ。」

弓(ゆみ)

外へ出ても、あれこれ
言われるんだ。

弓(ゆみ)

早く車に戻りたいよ。

弓(ゆみ)

早く家へ帰りたいよ。

弓(ゆみ)

早くここから、逃れたいよ。

弓(ゆみ)

ある人はこう言う。

矢良衣(やよい)

「あら、何よ。あの子
本当に感じが悪い
人ね。いつまで、
強がっているつもりかしら。
泣いた人が負けよ。強がりは
諦めようとしないのね。」

弓(ゆみ)

ある人はこう言う。

優衣(ゆい)

「バカね。泣いた人が、
負けだって言ってるでしょう。
バカな強がりはね。情けない
人がすることなのよ。あの子の
お母さんは綺麗ね。一体、
何を学んで、お綺麗になったの
かしら。いつまでも、
かわいそうこぶりをする
人はね、情けないのよ。
あの子の顔はもうブスね。
泣き顔でなくても、ブスよ。」

弓(ゆみ)

ある人はこう言う。

愛衣(あい)

「あの子のお母さんはね、
ろくでなしなあの子を、
せっかくお出掛けに
連れて来てくれた。
優しいお母さんね。
あの子の物は買えないに、
決まっているでしょう。
人でなしなんだから。
人として、大事な部分が
欠けているのよ。思いやり
とか。優しさとかね。」

弓(ゆみ)

やっと車へたどり着いた。

弓(ゆみ)

すると。

弓(ゆみ)

ママが言う。

弓のママ

「自分で車のドアを、
開けてみなさいよ。
完璧にね。」

弓(ゆみ)

私はママの言われた
通りに、開けた。

弓(ゆみ)

両手で、小さい小さい、
私の両手で。

弓(ゆみ)

右手にギリッと睨みつけられた。
痛々しい爪痕と傷を残して。

弓(ゆみ)

私の力は入らず、
隣の車へぶつかって
しまった。

弓(ゆみ)

ママはすかさず、私の
右手をギリッと、睨みつけて。
爪を立てた。

弓(ゆみ)

そしてママが言うんだ。

弓のママ

「バカな子ね。お前が
心配で走り出したんじゃない。
お前のせいで周りの人が、
迷惑してるんだ。そんな事も、
理解出来ないのか。バカな子だ。
理解の意味はなんだ?って顔を
してるぞ。弓。さすがのバカだ。
理解出来ないだろう。褒めていないよ。
お前のせいだ。だからママはお前を、
睨みつけるんだ。」

弓(ゆみ)

ママは私の頭を思いっきり、
掴んだ。私の頭を右、左へと、
動かす。

弓(ゆみ)

ママが言う。

弓のママ

「どうだ。周りの人はお前を、
睨んでるんだよ。」

弓(ゆみ)

そしてギリッと、睨んで
私の頭に爪を立てた。次はまたママが、
私の手をギリッと睨んで、引っ張った。

弓(ゆみ)

車をママが運転する
席の所まで、引っ張られた。

弓(ゆみ)

ママが言う。

弓のママ

「早く、完璧にドアを開けてみろ。
ママは手の力を残すんだ。後で
お前にお仕置きするためだよ。
これで終わると思うな。早く
開けろ。と、言っているんだ。
弓。お前傲慢(ごうまん)な子だな。
ママの言う事を聞いて、行動して
してれば、良いんだ。ママはお前
よりも、ずっと上の位に居るんだ。
なのにお前は上に立っているのは、
私です。みたいな。顔をしやがって。
傲慢なんだよ。傲慢の意味も知らない
みたいだな。まんまと、騙されやがって、
出掛けに来たのはな、お前がさまざまな
人に嫌な目で見られるためだよ。これでも、
理解出来ないのか。お前の事を誰も助け
無いんだ。お前のせいだよ。さぁ、早く
開けろよ。ドアを開けろ。っつてんだよ。」

弓(ゆみ)

私は両手で、小さい小さい、
両手で。右手には、ギリッと
睨まれた爪痕と、傷を残して。

弓(ゆみ)

私はドアを開けた。

弓(ゆみ)

なのに、なのに、
完璧に開けられなかった。

弓(ゆみ)

隣の車へぶつかって
しまったんだ。

弓(ゆみ)

ママは言う。

弓のママ

今日のご飯お前だけ
抜きだ。お前なんて、
産まなきゃ良かった。
他の誰かを傷つける
くらいなら、お前なんて
産まなきゃ良かった。」

弓(ゆみ)

トボトボ私は歩く。
下を向いたまま。

弓(ゆみ)

私は車の中へ入る。

弓(ゆみ)

ドアを両手で。小さい小さい
両手で。右手には、ギリッと
睨まれた。爪痕と傷を残して。

弓(ゆみ)

ドアを閉めようと、
必死で。

弓(ゆみ)

完璧に閉まらなくて。

弓(ゆみ)

ママが言う。

弓のママ

「完璧に出来ないくせに。」

弓(ゆみ)

と、ママがドアを閉める。

弓(ゆみ)

私はじっと、自分の
手を見る。右手を見る。

弓(ゆみ)

私は右手を睨みつける。

弓(ゆみ)

ママの裏切り者。

弓(ゆみ)

ママは私の右手をギリッと、
睨みつけた。から、私は
ママを睨み返して殺る。

弓(ゆみ)

私はどこへ行っても、
誰にでも嫌われる。

弓(ゆみ)

誰も私を助けようとしない。

弓(ゆみ)

お腹空いたな。

弓(ゆみ)

私は死にたい。

弓(ゆみ)

私は生まれて来なきゃ良かった。

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