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「ここが…地下帝国…!」
フォティは、突然目の前に広がった光景に、息を呑んだ。
俺、リードもこの光景には圧倒された。
もの凄く巨大な洞窟がいくつも繋がり、都市が丸々一つ入ってしまうくらいの巨大な空間ができている。
そしてその洞窟に網目のように路が張り巡らされている。もちろん、空中にもめぐらされている。
いたるところに光源も設置してあり、内部な昼間のように明るい。
自然もしっかりあり、みんな楽しそうに生活している。
この地下帝国を築いた人物は、一体誰なんだろう?
「まずは街長のところへ行くぞ。」
そう言ってリグは歩き出した。
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「わぁ…!」
俺は、目の前に広がっている光景を二度見した。
目の前に、ものすごい豪華な屋敷が建っているのだ。それも、地下に。
「ここが、街長の家だ。」
そう言ってリグは扉の前まで歩くと、扉についているライオンの形をしたドアハンドルを鳴らした。
「はいはい、誰かな?」
ガチャッという扉の開く音と共に顔をのぞかせたのは、大体60歳くらいに見える老人だった。
「クラン、紅蓮の鳳凰鳥のリグです。」
「おぉ、リグさん、やっと来てくれたか。事情は知っておるな?」
「はい、邪神の件ですよね」
「そうじゃ。この地下帝国は、蘇った邪神の襲撃から身を守るために築かれた砦じゃ。
じゃが、地下に作られたが故にモンスター出現が絶えないんじゃ。
そこで、紅蓮の鳳凰鳥の皆さんには、街の警備に当たって欲しいのじゃ。どうか、引き受けてくれまいか?」
リグはその言葉を聞くと、後ろに居た俺たちを見てきた。
「どうする、引き受けるか?」
「いやもう、引き受けるしか選択肢なくない?」
「俺もそう思う」
勿論、俺も賛成だ。
ただ、リトル・ヘブンのことだけが気がかりだが、結界が広場に張っているから大丈夫だろう。
「そうか、引き受けてくれるか。では。頼んだぞ。」
「はい、心して警備に当たります。」
そんなこんなで俺たち〈紅蓮の鳳凰鳥〉は、ルミアの地下帝国の警備をすることになった。
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「地下って、どんなモンスターが沸くんだろうね。」
「まあ、ゴーレムとかワーム亜種とかじゃない?」
「確かにね」
そんなふうに俺たちが会話しながら向かっているのは、一番モンスターの湧きが激しい、郊外にある広場だ。
その広場は小高い丘の上にあって、三方を崖に囲まれている。そしてもう一方は地下帝国全体を一望できるらしい。
郊外の広場にやっと着いて街を観察していた時、突然左上空から何かが降ってきて、街へと墜落した。
爆音が地下帝国に響き渡り、少し遅れて衝撃波が飛んできた。
突然の爆音で俺は聴力が奪われた。
瞬時にリイナが反応して防護魔法をかけてくれたから俺たちは無傷だった。
地下帝国自体は、昔ルミアに居た凄腕魔術師が防護魔法をかけたらしく無傷だったが、街の人間には効果があった。
聴力が戻った頃には、道端に多くの人が倒れている状況だった。
何が起きたんだ?
俺が呆然としている間にもリズは倒れた人たちの手当をしながら歩きだしている。そして俺たちをみると
「フォティとホテアデスは倒れてる人の手当、救助。その他は俺と、被害の大元の場所へ行く。」
「了解」
そこからは早かった。フォティ、ホテアデスは直ちに常備救急セットから色々な物を出して救助を始めている。
2人以外のメンバーはリグに続いて、被害の大元の場所へ走って向かっている。
置いていかれたら俺は何もできない。急いで俺もリグに続いて走り出した。
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うわぁ…
地下帝国の中心部にある街に入った瞬間、俺は呆然とした。
道に数え切れないほどの人が倒れて、無事だった人が急いで室内へ運んでいる。
中にはもう息をしていない人もいるだろう。
悲惨な光景に吐き気を催しながらも、俺は走り続けた。
被害の大元の場所にたどり着いた。だが、その近くで俺たちは絶句していた。
俺たちの目線の先には、虎のような毛が生えた右腕が浮かんでいた。そう、邪神フォルグの右腕だ。
「なんで、ここがわかったんだ…?」
地下帝国の入り口は、外から見たら全然わからないはずなのに…。
何か、見落としてることがある気がする…。
そこで俺は、能を一時的に活性化させ、記憶力を増幅させるスキル〈焔付箋珠法〉を使用した。
俺の脳内に、今までの出来事が蘇ってくる。
おそらく地下帝国の入り口がバレたのは、俺たちが地下帝国の入り口を開いたときだろう。
あの時、なにか怪しいことがなかったか?
あれ、そういえば空にはなにもないはずなのに、俺の足元に手の形の影があったような…。
まさか、あの時邪神フォルグは、上空から俺たちのことを見ていたのか…?
ないとは思うが、それしか考えられない。まさに、凡ミスだ。
俺がそう思い愕然としていると、邪神フォルグ(右腕)は周囲に邪界のモンスターを出現させた。
そして、モンスターを出現させた右腕は何処かへ飛んでいってしまった。
とうとう、邪界モンスターとの決戦が、始まる。