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あの後、〈紅蓮の鳳凰鳥〉のホテアデス、フォティ、セサ、リイナ、フェレール、リグ、そしてもちろん俺、リードはルミア街の生き残りの人たちを、徹底的に探し回った。
探し始めてから約5時間が経過した頃…
「おーい、居たぞー!!」
と言いながら、ホテアデスがよろよろと走ってきた。相当遠くまで探しに行っていたのだろう。
他のみんなにはセサに連絡を頼んでいるらしい。
ちなみにセサは精霊の末裔で、能力の多さは計り知れない。
「一体どこに居たんですか?」
「街の地下都市、というか地下帝国に居た。
光精霊、闇精霊たちの動きがおかしいと気づいた魔術師が街中に警報を出し、住民全員が避難したそうだ。」
「ということは、被害者は一人も居ないんですね?」
「あぁ。おそらく邪神フォルグも、地下帝国の生体反応までは察知できなかったんだろ。
殺す生き物が居ない街を壊しても、力の無駄使いだ、と思ったんだろうなぁ。」
とにかくルミアの人たちが無事で良かった。
「じゃあ、その地下帝国に案内してもらってもいいですか?」
「言われなくてもそうするつもりだ。そこがクランメンバーとの合流場所だしな。」
ガハハ、とホテアデスは一頻り笑うと、街の中を歩き、地下帝国へと歩き出した。
この時、上空に邪神フォルグの右腕がいて俺たちを尾行していたということを、まだ俺たちは知らなかった。
そしてこのことに気づかなかったということで、後に多くの人の命を奪うことになるということも。
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「ここが、地下帝国…?」
ホテアデスに案内されたところは、街の中心にある装飾のある立派な噴水の前だった。
噴水の周りには、〈紅蓮の鳳凰鳥〉のメンバーも揃っていた。
「そうだ、見てろ。あと、声は出すな。気づかれるかもしれない。」
紅蓮の鳳凰鳥の創設者、リグはみんなに念を押すと、周りにある青い宝石の装飾のうちの一つに、指を乗せた。すると…
噴水の中から突如爆音が響き渡り、水飛沫が辺りに舞った。
音と水飛沫が収まると、そこには人が一人通れるくらいの穴が、口を開けていた。よく見ると、金属製の階段がついている。
「ねえ、リグ。声を出して気づかれる以前に、さっきの爆音で気づかれると思うんだけど。」
「いや、音が鳴らなかったり鳴ったりするんだって、マジで。」
「へー。ということはさぁ、地下帝国の入り口も人を選ぶのかもねぇ。」
「はぁ!?人柄ならリイナ、お前のほうが悪いだろ!」
あーあ、また始まった。
「みんな、この二人は放っといて、私達だけで先に行こう!」
フォティはそう言うが早いか、階段の奥へ消えていった。
みんなも続々と階段の奥へ降りていく。
しばらくすると、地上に残っているのは、まだ言い合いをしているリイナ、リグと俺だけだった。
リグとリイナは何を言っても聞く耳を持たずに言い合いをしている。
仕方なく俺はこのいがみ合っている二人の首根っこを掴み、引きずるようにして地下帝国へ通りていった。