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なんとか兄、ルブロックに見つからずにダンジョンの内部へ来れた。
ここまでくれば、もう人に見つかる心配はない。
やっと、『あのモンスター』の研究に専念できる。
研究の発端となったのは数ヶ月前、俺が好奇心が導くままにダンジョンの内部へ入っていったときのことだ。
偶然1つ目の部屋にモンスターはいなかった。そして、その部屋からつながる一本道の廊下を進むと…
唸り声が聞こえた。これは何かいる、と思った俺は、頭だけ部屋にのぞかせて、2体のモンスターを見た。
部屋の奥にいるモンスターはとてつもなく大きく、頭部は石でできていて、体には苔やら蔦やらが絡まっていた。
このモンスターは、伝説の『ダンジョンの主だ』と、俺は確信した。
そして重要だったのは手前にいるモンスターの方。
大きさはトロールより一回り小さいくらいで、青色をしていて、透けていた。
こんなモンスターは、図鑑にも載ってなかった。
一体何なんだ?
そして、俺はこの日から定期的にこのモンスターの研究に励んでいた。
今日の夕方、野営地に戻って研究結果を羊皮紙に記すのがめんどくさくなり、
主の部屋へと続く廊下に座り込んで観察をしながら研究結果を記していた。
俺はこの時、観察に熱中しすぎて、後ろから接近してくる、青色のモンスターに気が付かなかった。
青色のモンスターに腕が取り込まれた俺は逃れようともがいたが、全然そいつは離れない。
そいつが俺の頭まで吸収した瞬間、記憶がなくなった。
気がつくと、俺は野営地のテントの中で寝ていた。
ただ、どうしてここへ来たのか、ここはどこなのか、俺は誰なのか、などが分からない。
なにか自分を知る手がかりがないか、と探すと、
俺が今まで研究結果を記してきた羊皮紙があった。(この時、自分がこの羊皮紙を書いたということは知らない。)
この羊皮紙を読み、自分が青いモンスターを研究していた、ということが思い出せた。
すると、微かに、その青いモンスターに記憶を奪われたときのことが頭に蘇った。
だが、羊皮紙によると、そのモンスターに物理攻撃は一切効かない、と書いてある。
もう、俺にはどうしようもなかった。
食料と水が尽きた。
俺は、もし俺を見つけてくれる人がいたら、と遺書を書いた。
そして、最後の願い、希望をその人に託すことにした。
そして、俺は生涯を一時的に終えたのだった。