3.特異体という体質が発覚した
その巻が完成した場合は、題名の横に「改」をつけます。
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屋敷の中庭に、鋭い音が響き渡る。 剣と剣が交錯するごとに、周囲に火花が飛び散る。
リードも最初は相手の動きについていけていたが、しばらくすると、守りに徹してきた。
その時、リードは相手の連撃を抑え、油断していた。
そして、その次の瞬間、剣の先をリードの喉元に突きつけていた。
勝負あった。
このことの発端は、3ヶ月前にさかのぼる。
祖父のルブロックに装備品一式をもらったはいいけれど、
俺はその時、筋力が無さすぎて防具を装備する以前に持ち上げられなかった。
そしてそれから3ヶ月間毎日欠かさず、
ルブロックの指導(監視)の元、筋トレをしていた(やらされていた)のだ。
そして、今はその腕前がどのくらい上がったかを自分でわかるために、ルブロックを相手に模擬戦をした。
ルブロックは、今年で689歳になるのに、少しも剣術の腕前は落ちていなかった。
そして、その結果、俺は惨敗した。
初めての模擬戦だったから、もの凄く悔しかった。
そしてこの瞬間、これからはルブロックのことを師匠と呼ぼう、と思った。
その数分後…
模擬戦が終わって静かになった中庭に、空を切る音が響き渡った。
模擬戦が終わった後、師匠(ルブロック)に、「剣の動きを意識したほうがいいぞ」といわれたため、実践してみるためだ。
俺は、ひたすら素振りをした。
一時間後…
やっと剣の動きを意識できたと思った瞬間…
※ピコーン※※斬撃※スキル獲得※
※ピコーン※※剣士見習い※戦闘職業獲得※
※ピコーン※※赤靄黑骨旋※恒例スキル獲得※
……え?
なんかヤバそう…急いで師匠に伝えないと…
そう思った瞬間、
「じいちゃ〜〜〜〜〜〜ん!」
と叫びながら、俺は屋敷の中へ駆け込んだ。
「な…一時間素振りをしただけで〈斬撃〉を覚えるだと!?基本スキルは基本が故に覚えにくいはずなのに…。
ましてや、戦闘職業も同時獲得!?まさか、恒例スキルまで獲得してしまうとは…。
もしや、〈特異体〉なのか?ないとは思うが、可能性はある…。今すぐ専門医へ行こう!」
何がなんだかわからないまま師匠に連れられ、近所のルーカス専門医のところへ向かった。
「あ〜、この子、〈特異体〉だね。でも、この時代に特異体なんて、珍しいね〜」
そうルーカス専門医は師匠に説明をした後、のりが軽い専門医だなーと失礼なことを考えていた俺に向かって
「特異体っていうのは、スキルとかとは違って、
生まれつき微弱な成長補正とかの能力を持っている人のことを言うんだよ。
でも、ホント珍しいなぁ。特異体の子なんて、僕が専門医試験に合格した3052年前から、
一人も報告にあったことなかったのになぁ。」
…ん?今、違和感がある言葉が…。
「失礼なことをお伺いしますが、ルーカス専門医は、今何歳ですか?」
「え?どうしたの突然?えっと、俺は8359歳だよ」
うん、聞かなかったことにしよう。
まあ、俺が特異体ということが分かり、家族に説明すると、その日は家族会議が開かれる事態になった。
ちなみに、俺の特異体の能力は、微強力成長能力上昇効果という、ものすごく強力な能力だった。
この能力は、普通の人よりスキルや職業が覚えやすく、
そして体力値や魔力値、スタミナ値が伸びやすい。
そして、家に帰ってから師匠に教えてもらい、わかったことがいくつかある。
1つ目に、俺が獲得したスキル〈斬撃〉は、剣術系スキルの基本スキルらしい。
基本スキルというのは、獲得するのに時間が掛かるが、獲得さえすれば派生スキルが獲得できる可能性が出てくる。
そして、人によってはいくつもの条件が揃うことで、自分だけの派生スキルを獲得できる可能性がある。
そして、この世界には、〈流派〉というものが存在する。
流派は、家系などによって変わり、流派によって戦い方などが違う。
ちなみに俺は、飛翔流という、スピードを中心とする流派だ。
2つ目に、恒例スキルのこと。
これは、ずっと継続的に続く効果があるスキルのことだ。
ごく稀に、スキルを使用するのと同じ感覚で使用できる恒例スキルもある。
そして3つ目に、戦闘職業のことだ。
これは、一定の条件を達成すると獲得できる職業のことで、
もとからある戦闘職業と新しく獲得した戦闘職業が結合し、新しい戦闘職業になっていく。
つまり、人によって戦闘職業が変わる、ということだ。
そして最後に、スキル確認方法がある、ということ。
〈ステータス確認〉と念じると、自分のステータス、現状、スキルの効果などを確認することができるようになるそうだ。
そして、新しいスキルを獲得すべく、俺も今日も練習を始めた。